ENo.0113　ブラック・タグ

　世界は他者に観測されることで成立している。
　では認識されない世界はどうなってしまうのか。
　もちろん消えることはありえない。
　だが霧に包まれた世界はそうとはいかない。
　霧とはあやふやなものである。
　霧に包まれてしまったものは観測することが出来ない。
　ただし霧に包まれていてもそこに存在していたものを認識さえしていれば問題はないのである。
　一人でさえ認識し続けていればの話だ。
　さて、霧に包まれた存在が観測されなくなるとどうなるのか。
　文字通り『霧となって消滅する』だ。
　こうして霧に包まれて世界が消滅するのを僕達は『霧消失』と呼んでいる。

　そして僕達は霧消失に巻き込まれたわけだ。
　霧に包まれていく研究機関、消滅していく領域。
　その先を確認するべく多くの仲間が霧の中へと消えていった。
　次第に僕たちは恐れていった。
　この霧はいつか全てを飲み込んでしまう、僕達の今までの努力も霧へと消えてしまうと。
　困難に陥る中、僕と複数の仲間は密かにガレージに研究施設を移動した。
　同時に他の誰も侵入できないように閉鎖をしてでもね。

　そこには有事の際にと格納されていたウォーハイドラが置かれていた。
　一つの可能性としてウォーハイドラの索敵機能を使用した。
　人間には世界の認識をし続けることは不可能だ。
　だが、ウォーハイドラの索敵機能であれば途切れることはない。
　その索敵範囲内であれば領域の存続は可能であると……。

　その理論は正しかった。
　僕らは霧に包まれる事なく研究を……。
　彼女の復活を続けることにした。

　しかし、この状況が長く持たないことは最初からわかっていた……。

当機関は残像領域における医療情報機関です。
人工知能による新型医療情報統合システムの技術研究を嘱託されています。
現在進行中の「■■■■■計画」は――

――故ニヨり中断――
――――――からの出資は停止されタタめ規模を大幅に縮小しておリマス。

霧侵食により施設――――棄シマシタ。

――続セヨ――継続セヨ――

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※ユニオン活動は「制御*5」、「素材+1」で固定されます。