ENo.0649　アキラ・ハリアエトゥス

やってしまった。いや、やってやりはしたのだがやってしまった。

様々なパーツを組み込み、これでどうにかなるはずだ、と挑んだ昨日の戦闘……研究所破壊。
確かに、戦果は上げることができた。俺にとっては初撃破だ。嬉しくないはずはない。
被弾もなく、敵には痛手を与え……しかし、そもそも攻撃できた回数が少ないのだ。

「横からトドメだけかっさらった、っていうのを初撃破だと言うのは……ちと情けないな」

何が悪かったのか。色々積みすぎて機体が重くなってしまっていたか。

「思い当たる問題……くそ、多すぎるぞそんなの」

急遽予定を前倒しにして修理した機体、ライダーとして腕が追いついていない俺自身、未だでっち上げのままのフレーム。
うまくいかない理由としてはどれもこれも十分なものだった。

「はー……結局またガレージに篭りきりか。機体の調整、ぱっと済めばいいんだけどな」

ここのところ、機体を置いて外出してみようとは思っているのだが出かけることのないまま終わる日が続いている。
パーツの発注や受取で外に出ることはあるが……それを外出と言っていいものか。

「……まあ、今はお前が仲間とか恋人とか、そういうもんだよ。なあ？」

愛機を見上げて話しかける。当然、返事はない。

「何かしら喋ってくれてもいいよな、お前。世の中にはハイドラにAI積んでる人とか居るらしいって聞いたけど、お前もどうだ？」

当然、返事はない。

「…………やめよう。虚しくなってきた。でもAI積むっていうのはいい手かもな、検討してみるか……」

またガレージに篭もるハメになる案件が増えそうではあるが、まあそれも悪くはないだろう。
AIの資料を貰いに適当なライダーに話しかけてみるのも手だろうか、と、やりもしないだろうことを考えつつ俺はパンディオンの装甲を外し始めたのだった。

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追記：結局のところ、問題は機体の構成だった。戦術の見直しが必要になる。
しかし逆を言えば、ここを乗り越えられれば他のライダー達にも追いつけ得るというわけだ。
……流石に少し盛りすぎたかもしれない。比較対象になり得る、としておこう。

空を飛ぶ、という事を変える気はない。変えるのは射撃を軸とするか近接攻撃を軸とするか。
頭上を取っての一方的な射撃、高空から急降下しての突撃……どちらも捨てがたい。さて、どうしたものか。