ENo.0435　ブレイジングスター

～次元渡航～

それは当時の世界のアセンブル技術とは全くの異質の技術だった。

脚で地を蹴るわけでも、
翼で空を翔るわけでも、
車輪で走るわけでもない。

時という高次元に脚を立て、
ピックを突き刺し、
登りつめるようなものだったからだ。


重量がマイナス...ここでは虚無物質と呼ぶことにしようか。
虚無物質になるということは力を加えれば加えた方向に加速度を持ち、
動けば時間の流れが緩やかになり、
一定速度を超えると時間を逆行した。

傍目から見ると、虚無物質を一定速度以上に動かすと二つに分裂し、
虚無物質を止めると一つに収束した。

KSK重工業はこの特性に着目し、虚無物質を高圧運動炉にて高速円運動させ、分裂したそれぞれの虚無物質に別々の仕事を与えた。


単純作業効率が二倍になった。

KSK重工業の研究チームはこの現象を

｢虚無位相｣

と名付けた。

この位相という考え方は
次元渡航技術の初歩的な技術であり、これからの次元渡航技術の先駆けとなった技術になった。