ENo.0467　アクト=ユーティレス

敵の気配がない空間にたどり着いた。
別の部隊との合流を待つ事になったため、その間に修理を済ませる。
こういう時に自分で修理が行える事に感謝しなければいけない。
数十分が経ち、完全に修復出来た頃に別部隊のメンバーが来た。
すぐさま編成し直し、進攻を再開する。
奇襲を警戒しながら進むと、非常に大きな広間があった。
同時にエリカから通信が入る。

エリカ「気を付けてください。その先に巨大な反応があります」

周りの味方も各々で察知したのだろう、散開して遮蔽物に身を隠している。
まるで見計らったかのように全員が配置についた辺りで”それ”は姿を現した。
今まで見てきた敵兵器を凌駕する巨体。
ケタ違いの威圧感を放っている。
そしてそれを守るようにいくつもの護衛機。ヘタをすれば、間違いなくここで死ぬことになるだろう。

エリカ「あんなものがあるなんて……。教団からの情報にはありませんでしたよ！？」

エリカのいうあんなものが機体の周囲に膜のような物を纏う。
頭部カメラからの映像を見ていたエリカが警告を発する。

エリカ「そんな……！敵巨大兵器の情報が計器の観測値を振り切っています！おそらく攻撃の一切が通りません！」

つまりあんなものの攻撃を捌きながら周りの敵機を倒していかなければいけない状況だ。圧倒的に不利ではあるが、ここで退くという選択肢は無い。
意を決して遮蔽物から飛び出す。それを合図にお互いの攻撃が飛び交い始めた。
あんなもの－－エリカによると、ルミナス・メイズというらしい－－の周囲が歪むと同時に、その中から起動兵器が出てくる。
かなり細身で武器は手に持っているナイフのみ。
これがただの兵器なら問題はなさそうだが、今回ばかりは危険性が高いだろうと警戒する。
途端に細身の兵器が姿を消したと同時に、後ろにいた味方が撃破されていた。
予想通り近接タイプなのだろうが、問題はほぼ一撃で味方がやられた事。
ひとたび隙を見せればその瞬間に機体を破壊されるだろうと認識する。
激しい攻撃に晒されながらも、細身の兵器からの攻撃も捌かなければいけないのだが、当然その全てに反応しきれるものではなく、徐々にAPが削られていく。

エリカ「残りAP30％を超えました！」

機体が悲鳴をあげているのがわかるが、動きを制限されている以上やすやすと回避できるものではない。
今回ばかりは死を覚悟した。
が、突如機体が光に包まれる。

ルーミ「大丈夫」

ルーミの声がしたかと思うと、機体の修復が行われていた。
これならいける。そう確信し、スパートをかける。
やがてルミナス・メイズが自己崩壊し始め、そこからはあっという間だった。

エリカ「ルーミ、あなた一体……」

気にかかる事は多々あったが、まだ全てが終わったわけではない。
ここから無事に帰らなければいけないのだから。