ENo.0070　ユリア・クールハート

『ＴＵＲＮ３２：過去の亡霊達に縛られた哀れな女』

「……」
『ユリア、大丈夫？』
「ああ、平気だ。前回の戦いで『ザヴェーニエ・システマ』はさほど影響を及ぼさなかったようだ」
『でも、やっぱり心配だよ。突然戦場で、ユリアが戦い方を忘れたりしたら』
「私は戦士として、生き残る為にあらゆる術を叩き込まれている。そう簡単に墜ちはしないさ」
『そうだけどさ、……は……を』

　ブツッ、と突然モニタが暗転した。

「エルシス？」

　問いかけるが、返事は無い。

「セロ？」

　こちらも無反応。

「……？」

　適当なキーを叩いても、反応せず。

『無駄ですよ』
「――？」
『「トリグラフ」のシステムは今、我々の意識が掌握しきっている』
「誰だ！？」
『おやおや、誰だとはご挨拶ですね、「ユリアお嬢様」？　貴女が殺した相手の声を、お忘れですか？』
「……ロバート・アスゲイ？」
『ビンゴォ！！』
『いやはや、「ザヴェーニエ・システマ」はまだ、私の事を貴女の中から消し去ってはいませんでしたか！』
「何故だ！？　何故お前が、お前は……！」
『かつて貴女がとどめを刺した、と？』
『ええ、ええ。私はたしかに貴女に討たれた』
『痛かったですよ？　死ぬほど痛かったですよ？　ああ、実際死んだのでしたね』
『ですが、考えてもみてください、お嬢様？　生者も死者も集うこの残像領域。我々の意識が復活しても、不思議ではありますまい？』
「『我々』？」
『おゥよ。久しぶりだなァ、ユリア？』
「その声は、ブラッド・フェイオン！」
『懐かしいねえ、かつてめちゃくちゃにのした事がある君に、コクピットを撃ち抜かれて蒸発したのが、まるで昨日の事のようだ！』
「その声は……」
『いや、いいよ？　私の名前など君が覚えていようがいまいが、私にはどうでもいい。昔のように「教官」と呼んで睨んでくれていい』
「何故、お前達が……」
『利害の一致、というものですよ、お嬢様』
『オレ達はてめェに命を奪われた』
『だから、私達は復讐する、君に』
『その為に、「トリグラフ」を、いや』

『ハイドラ「チェルノボーグ（死神）」を造って、君達をこの世界に「呼んだ」のだから』

「――ッ！？」
『お人形遊びは楽しかったかい？　だが、そろそろ終いだ』
『近い内、貴女は全てを忘れる。その時こそ、我々は貴女の前に姿を現しましょう。貴女の全てを奪って、命も奪う為に』
『奪われたから、奪い返す。当然の事なんだァよ！』

『アァッ、ハハハハハハハ……！！』

――システムが再起動する……。

『ユリア、どうしたの、大丈夫！？　すごい汗かいてるよ！？』
「エルシス……」
『来たか』
『えっ、どういう意味？』
『「トリグラフ」の作者と、話したな』
『えっ、えっ？』
「セロの言う通りだよ」
「私達は、遊ばされていたんだ。過去の亡霊達に」

To be continued...

Reinclaft-Millia Service

数年前にできた、残像領域の片隅の整備屋。
相場よりほんの少し高い値段で、ウォーハイドラのみならずライダーも整備する。
早い話が、機体のメンテをしに来るついでに、店主が常々作りすぎる飯のおこぼれにありつける整備屋である。
飯だけの利用も歓迎だが、この店にはメニューはない。店主が作りすぎたその日の飯が出されるだけである。

！店および店主（ENo.4）の既知可
！ユニオンに参加せずメッセで利用する体も歓迎
！ロールするキャラを推奨するかも

細かいこと：http://midnight.raindrop.jp/milliapede/union.html