ENo.0574　言語魔術師アリューカ

　ガレージの中で、愛機オッティアを整備中。

「アリューカ、いい知らせと悪い知らせがある」

　視界の隅に陣取るうざかわ系マスコットキャラクターのオッティアが切り出した。

「まず、いい知らせから聞こうか」

「貯金が20000cを超えた。これでアリューカは元の世界に帰れる」

「うん。それで、悪い知らせは？」

「俺を別の世界に連れていくのに30000c必要だと言ったが、どうも40000c必要らしい」

「ふむふむ」

「ミニチュアなら30000cで済む。だが、ウォーハイドラそのものを連れていくとなると、
　霊障で開いたワールドポータルの幅の問題で、試算すると40000cが必要になった」

「そうか。じゃあ40000c貯めよう。オッティアは僕の相棒だからね」

「……アリューカは即答することが多いな」

「ここで悩むようなヘタレじゃ、残像領域で生きていけないよ。即断即決さ」



　思えば、長いこと霧の中に居た気がする。
　ハイドラライダーライセンス。それを持ったアリューカが、ガラクタの中から
　ぼろぼろのハイドラを見出し、磨き上げた。使えそうなパーツをかき集め、オッティアは生まれた。

「アリューカの世界じゃ、俺はただの置物になっちまうんだぞ。霧が濃くないとミストエンジンは
　動かない。そんな文鎮を、一緒に連れていくっていうのか？」

「霧が出ている山頂にでもガレージを作るさ。霧が濃い日はオッティアも喋れるだろう？」

「アリューカ、俺は――」

「オッティア、心配しないで。僕はやると言ったらやる子だよ。
　だから、次の戦場でもたくさん活躍して、クレジットを稼ごう？」

「――ああ、たくさんクレジットを稼いで、元の世界に凱旋しようか。パドも待ってるしな」

「うん。パド、待っていてね。残像領域のつもる話を、たくさんたくさん話したいから！」

■説明
　霧の中、残像領域にうっかり紛れ込んでしまった異世界の人専用のユニオンです。
　ユニオン活動は格闘*5です。ユニオン購入は素材+1ですが、柔軟に対応したいです。

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　警告 警告 警告 警告 警告 警告 警告 警告

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……るか……えるか……聞こえるか……
……今……私は……世界を超えて語りかけている……
……元の世界……異世界に故郷を持つ者たちよ……
……集まれ……集うのだ……帰還……めに……

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　ワールドクラッキングを検知しました。
　逆探。対象を特定。シャットダウンします。

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「青空を見たのは、何時のことだったか」
「夕焼けを見たのも、だいぶ前になるねえ」

そんなことを呟いても、得られるものなど、何もないというのに。
自称＜訪問者＞たちは集い、情報交換し、切磋琢磨し続ける。

霧の果てにあるものが、故郷よりも大切なものかもしれないと思い始めたとき、
その瞬間に大義名分は朽ち果て、残像領域こそが真実＜リアル＞なのだと気付くのだろう。

デイドリームビリーバーは死ぬ。でも、せめてそれまでは。