ENo.0070　ユリア・クールハート

『ＴＵＲＮ３６：在りし日の挽歌』

「エルシス」
『……』
「そう不貞腐れるな」
『……ユリアはいつもそうだよね』
「え？」
『平気だって言って。辛いのを隠して。何でもないって顔をして』
『僕にだって隠し事をして』
「あ」
「何だ、怒っていたのはそっちか」
『え？』
「私はてっきり、私が生体部品手術を受ける事を反対して、お前が怒っているのかと思ったんだが」
「お前は、私が本心を見せない事に腹を立てていたんだな」
『……』
『あーあ。やっぱりユリアにはかなわないなあ、何でもお見通しだよ』
「はは、伊達に人生の相方ではないさ」
「だから、言うよ」
「怖いよ」
「記憶を失う事も、まっとうな人間をやめる事も、過去の亡霊と向き合う事も」
「私はそういった事を『言うな』と押し込められて生きてきた」
「だけど、エルシスには本音を言うよ」
「死ぬのは怖い。痛いのも苦しいのも嫌だ」
「だが、それ以上に、お前を一人遺して逝く事が、何より怖い」
『ユリア……』
「だから、勇気をくれ」
「傍にいてくれ、最後まで。勝っても、負けても、この戦いが終わるその日まで」
「いや、願わくば、それからもずっと」
『……』
『ユリアはやっぱり可愛いね』
「ハ！？」
『怒った顔も好きだよ』
「なっ、なっ……何でこの流れで今それ！？」
『今だから言うんだよ』
『僕はユリアが大好きだよ。本音を言ってくれて嬉しい。必要としてくれて嬉しい』
『言われなくても、最後まで一緒にいる。僕も、君を遺して消えたりしない』
『だから、行こう。この残像領域の果てでも、どこまででも』
『君がどうなっても、僕が君を支える。だって僕らは、相方なんだから』
「エルシス……」
「ありがとう」
『どういたしまして』
「そうだ、エルシス。頼みがある」
『何？　君の頼みなら、もう何でも聞くよ！』
「手術を受ける時、隣で歌を歌っていてくれないか」
「いつかお前が歌っていた、お前が教わったという歌を」
『あはは、まだ覚えてたんだ』
『でもあれ、反戦歌だよ。いいの？』
「いいんだ。似合いだ」
『わかった。僕の歌声なんかで良ければ、いくらでも歌うよ』
「ありがとう」
「……………よ」
『え？』
「……いや」
「何でもないさ」

To be continued...

Reinclaft-Millia Service

数年前にできた、残像領域の片隅の整備屋。
相場よりほんの少し高い値段で、ウォーハイドラのみならずライダーも整備する。
早い話が、機体のメンテをしに来るついでに、店主が常々作りすぎる飯のおこぼれにありつける整備屋である。
飯だけの利用も歓迎だが、この店にはメニューはない。店主が作りすぎたその日の飯が出されるだけである。

！店および店主（ENo.4）の既知可
！ユニオンに参加せずメッセで利用する体も歓迎
！ロールするキャラを推奨するかも

細かいこと：http://midnight.raindrop.jp/milliapede/union.html