ENo.0131　大怪獣ファンタ

ファンタの、呼び声に応えて。
何か、すさまじく巨大な鉄の塊が、都市ビルをまるごと踏み砕き、瓦礫を巻き上げて着地する。

うおおっ！？　な、何だ！？

暗闇の向こうに燃えるようなくろがねの腕が伸び、炎の尾を引いて、ぶうん！と、打ち下ろされる。
ずっ、ごん！！！！！
振り向いた敵機の、その頭をべしゃりと叩き砕いた炎の腕は、そのままサンプーカをまるで空き缶のように叩き潰して、ばぐん！！と炸裂する爆煙の中に、その威容を表した。

ppppppp…….

Trigger Z on

Z on Z on

ppppppp…….

燃え盛る都市の炎に照らされ、鋼鉄の巨人が、自らも赤熱する身体を光らせた。
一つ目は太陽のように輝き、夜の都市を昼間のように照らしている。

ゼットン！　ここだッ！　もう一回！　おれ達を乗せてくれェーーッッ！！

ファンタの雄叫びを押し潰そうと迫るレッドドラゴンの、その焼夷砲を打ち払って、ゼットンの腕が火龍の太い首をねじりあげる。人知を超えた怪力が火龍の装甲をひしゃぎ、ぶぢ、ぶぢ、と、その配線ごと捻り切って、咎首のごとく頭上に掲げた。

なんで、あいつがまだ動く！？　お前が、ブッ壊したんじゃねえのかッ！！

ゼットンのパーツには、高圧修復のナノマシン素材が組んであった……。それでも、あそこまで完全に壊したら、機能が回復するはずない、でも、だけど……！　

でも、少しも、不思議じゃない！　あいつはゼットンだ、おれの、半分なんだ！！

ちぎり取った高層ビルを鈍器のように使い、デボンレックスを叩き落としたゼットンは
敵機が態勢を立て直す前に３人の前に屈みこみ、胸部ハッチを開いた。

おい、二人乗りのとこに、三人突っ込むのか！？

しょうがないだろっっ！　父さん、でかいんだから、縮んでてくれよ！

親不孝なガキだぜ。おっ、嬢ちゃん悪いな……おやあ？　怪我してんな。くく、お兄さんに見してみな……

ああっ！！　てめえ、ルトに触んなっっっ、クソじじいっっ！！！！！

一時、動きを止めたゼットンを包囲し、コロッソスが一斉に電磁砲を打ち込んでくる。
ファンタは操縦桿を操り、コクピットに灯る無数のボタンを素早く叩き、レバーを押し込んだ。

フェリックスの、演算式ならッッ！！

霧のバリアを展開し、砲撃を防ぐゼットンの背部から、無数のミサイルが飛び出して周囲に降り注ぎ、その一発一発がえぐりこむように敵機の心臓部へ突き刺さって、爆煙を上げる。

撃破した敵の状況も確認しないまま、ゼットンはその巨大な身体を踊らせて戦場の南へすっ跳び、いままさに相棒に組みつこうというオルゴイコイコイの、その横っ腹を思い切り蹴り抜いた。

アドルク！！

ゼットンの、バイオ融合路が、許容値いっぱいに光ってる……！！
　おまえの仕込んだ、「あれ」が、やれるかもしれない……っていうか、やるしかない！
　いけるか、アドルク！

アドルクの返答を受けて、ファンタは一度、深く息をつくと……
ひとつ、雄叫びをあげて、ゼットンの両腕を、アドルク機の中心部、バイオ融合路へ突き刺した。

みるみるうちに、鋼鉄のはずのゼットンの身体を突き破って、いくつも突起が生え出し……
そのいずれもが、淡い紫色の光を纏って、戦場に輝く。

アドルク、おれたちは……

おれたちは、最高のタッグだったよな！

ファンタが、思い切り両のレバーを押し込む、
その直後……
ゼットンを中心とした、紫色の光が凄まじい勢いで炸裂し、周囲の敵機ごと、いや、都市まるごとを飲み込むように、大地を飲み込んでゆく。

その紫色の光は、しばらく都市を覆うように、光り輝いていて……

やがて、止んでゆく。

その後には、敵機も、味方も、全てのものが、そのままの姿で固まって止まり、ほのかに残る明かりに照らされている。

その中心部で、ゼットンは……

相棒の機体と、主人を抱きしめるように……まるで胎児のように、静かに横たわっていた。

大怪獣スタジオは、大怪獣製作所である。
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（主に重量級ハイドラへ向けた、大出力・強装甲のパーツに取り組んでまいります）

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