ENo.0071　パアム・ライザ

青い空。
澄み渡る空気。
目の前に相対する大量のバイオクイーン、そして、ドゥルガー。

私は何を見つけただろう？
ここへドリフトして、生きて、見失って、失わせて、また見失って、得て、得て、そして気づいた。

その中で、見つけた物とはなんだろう？私の未来か、この世界の未来か、それは分からない。


「プレディ？」

「なんだ」

「私は、死ねますか？」


暫く、返事は無かった。唐突な、しかし示唆するような事は今まで何度もあった。
先程までの選択は、死を選んでいると同義でもあったから、察する事はできただろう。

自殺を、それも直接的な死を考えたことはあった。しかし、怖くてできなかった。
私は臆病者なのだ。向き合うことから、今までずっと避けてきて、そして避けられなくなった時に、裸で向き合う羽目になる。

「死ねる。」

ただ、その単語一言を発するのに、十数秒かかった。

「死と言うのが、どの概念かによるが。やろうと思えば、お前を俺と同じ存在にもできる。」

それは、脳を群体化しするということ。全てを焼却されない限り、私という個が失われない事を意味している。

「何より、俺が死なせない。お前がこの場で死ねば、俺が死ぬ。こいつを動かせる奴がいる」

嘘だ。プレディは正しい事を言う。だが全てを言うわけではない。特に、プレディの本心に関しては。

「私、いなくてもいいですよね？」

「困る。お前というガワが存在しなければ交渉もできん。」

「私の皮を被れば良いじゃないですか」

プレディが押し黙った。なんとなく、意地悪をしてみたくなった。視線の先の軍勢を前に、気がおかしくなったのかもしれない。

「嫌だ」

「嫌だ、とは」

「お前がいなくなるのが嫌だ。」

何故なら―――――

と、続くその後の言葉と共に整備が完了する。
その言葉を噛み締めて、私はプレディと共に、二脚、両腕――父の愛したカタチとなって、立つ。


「お前は俺と一番最初に言葉を交わしてくれた。お前は私を守ってくれた。」

だから、お前は死なせない。

「研究って何を研究するんだ……？」

「……貴方を利用した兵装とか」

「勘弁してくれ」