ENo.0093　メーネ＝"クルーク"＝フライス

いよいよ、契約の出撃回数が満了する時がやって来た。
これで私は報酬を貰い、その報酬で帰還魔術の触媒を購入し、
元の世界に帰って万々歳。

…。
……。
………。

とは、ならなかった。
私が購入しようとしていた魔術の触媒――とある金属――だが、
採掘プラントに暴走したバイオ兵器が突っ込んで操業停止状態になっていたらしい。
その影響で価格が高騰していたのだ。…およそ2倍に。これには思わず悲鳴を上げた。

本来であれば、金属を購入して更に少しお釣りも来る額の報酬を貰える筈だったのだが、
この影響でむしろ足りなくなってしまった。
そこで私は、渋々ながら、畝木重工に契約の延長を申し込んだ。
社としては腕利きのハイドラライダー（納得の行かない肩書きだ、本当に！）
がまた雇えるという事で、二つ返事で快諾してくれた。

先日運び込まれたはいいが、整備が間に合わずお蔵入りになった2機の新型。
そのテストなどを引き受けつつ――私は、まだあと少し、何ヶ月か、何年か。
残像領域と付き合う事になった。

だけどそれは、また別の話。
「霧戦争」などと呼ばれた戦いではない、別件のお話だ。

だから、ここに記述する日誌はこれでおしまい。
一つ言えるのは、私はツイてないってことだ。

兵器メーカー、畝木（うなぎ）重工が管理する広大な射爆場です。
この度、社員以外の一般の方々にも解放させていただく運びとなりました。
弾薬やターゲットドローン等は当社負担で提供致します。
射撃能力を伸ばしたい方、無料の弾丸をとにかくぶっ放したいだけの方、
資格は問いません。どうぞご参加下さいませ。

※スペースと当社予算の関係から、募集は先着で限定10名様となります。
※ユニオン活動は射撃×5の射撃特化ユニオンとなります。
※破壊したターゲットドローンの残骸は買い取りしていただけます。
　ドローンとは言え、当社自慢の逸品です。
　残骸から何かしら有用な部品が入手できるかもしれません。
　（ユニオン購入は素材+1となります）


※射爆場内での射撃・機動のデータは畝木重工が観測・記録し、
　当社製品の技術開発に転用させていただく場合がございます。