ENo.0276　ローデット・ダイス

機体に乗って戦場の準備をする。

　キラリ、と胸元で光るドッグタグを眺めては小さく笑った。


「……信じて、いいんだよな」


信じる者なんていなかった。

　時空震のことをメルサリアのメッセージを聞いてガタリと席を立ちあがった。


――戻れる、やり直せる。

　ずっと、ずっと、後悔したあの日。

母親を連れ去られて行くのを、ただ隠れて見ることしかできなかったあの日。

　助けられる、きっと違う道が――


そこまで考えて、止めた。

　だから、あいつは私に選んで欲しいと言ったのかもしれない。

『バルトロイ・クルーガー』と共に過ごしたこの道を。

　私は、私がその道を選ぶのを、止められるだろう一人の人物に止めて欲しかった。

きっと似たようなものだろう。


（終わったら、また謝らないといけねえな）


こうやって、戦場に行く前にまた迷ってしまったことも。

　あいつの気持ちをちゃんと意を酌んでやれなかったことも。

ただ、今だけは違う言葉を。



「調子はどうだ？」

『どうもこうも、なるようにしかならねえよ』

「ご尤もだ」

『お前こそ、あンまり無茶するんじゃねえぞ』

「どうだか、これ終わったら暫く休むって思うと少しくらいするかもな」

『おい！！』

「冗談だよ、いつもどおりお前の支援するのが私の役目さ」

『おう、頼むぞ』

「ああ、だから……迷ったら」


また、何度も迷ってしまったら


『そしたらでけえ声出してお前の名前呼んでやるよっ！』



何度も助けてくれ、信じてるから。



「……ミヅカって呼ぶなよ、最後の最後でそんなバレ方したくねえからな」

『呼ばねえよ、お前が何回呼んでも駄目だったら呼ぶかもしれねえけど』






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とあるものを求める為の集まり場。
それが何であろうと構わない、情報収集の場でもある。


制御*5、ユニオン購入は適当