ENo.0517　スタニスワフ・クビツァ

「……俺は、撃墜されていたはずだが？」
『WH【ヴォイテク】のログに、そのようなデータは残っていませんが』
「じゃああれは白昼夢か？」
『私も同じ夢を見たということでしょうか？』

「するってえと、わかんねえな」
『或いはこれこそが、再起動、なのかもしれませんね』
「なんでもいいさ、まだ戦えるんだからな」
『また撃墜されますか？』
「されねえよ」
「そんな勿体無いことは出来ねえ」
「最後まで、この戦場を味わうぞ」


『これで終わり、ですからね』
「いいや、まだまだ終わりゃあしねえ……」
『こんな会話を』
「した覚えがあるな」

「で、お前のとこは、ちゃんとデータを取れたのか？」
『？』
「おいおい、目的はそれだろ？」
「俺の操縦データだ」
『……！』
「何の目的もなしに、こんな補助なしじゃWHを運用しきれない役立たずに提供したりはしないさ」
『それをわかっていて、ヴォイテクを操っていたのですか？』
「当たり前だ」
「戦いさえ出来れば、俺はそれでいい」

「で、お前がそれを使うんだろ？」
『正確には、量産された私と同じ思考回路を持つ、AIでしょうか』
『得た情報を共有し、クラウド化した無人機を並列処理した戦場の管理を』
「ああ、細かいことは聞いてねえ。」
「それをしっかりと役立ててくれりゃあそれでいい」
『はい、約束しましょう』


「はっはっは！よく言った！」
「終わりゃあしねえよ、俺も、俺たちの戦いも」
「活きなくなるまで、はな？」
『はい』
「ああ、行くとしようか！」

ブックメーカーできないゴリラです