ENo.0219　アクロ

実の所、ハイドラに乗るためのライセンス取得に何か試験が有るわけじゃあない。
そりゃ、もしかしたら俺たちの想像もつかない高みにいる誰かが許可を出しているのかもしれないけれど、
基準が分からなければ俺も企業も困っちゃうよな。
なもんで、さっそく草むしりを命じられて、霧の立ち込める荒野へピクニックと洒落込んだんだ。

ふと、輸送中にやばい夢を見たんだ。
いきなり機関銃やプラズマ砲の怒号が鳴り響いたと思ったら、友軍の半数が消し飛んで、俺の愛機も半分ほど
焼けただれながら命からがら逃げおおせる‥‥。
初陣で見る夢じゃねえよな。ビビってたのかな？　それとも虫の知らせか。
もちろん、実際はそんな事は無かったし順当に敵を蹴散らして日当を頂いたよ。
でも、何人かは蜂の巣にされた。

怖くないわけじゃないさ。作戦領域に到達したアナウンスで、胃袋がキュッと縮こまったし。
そんな中でも、何とか敵を出し抜こうと動き回っていると不思議と落ち着くんだ。
まぁ、そのうち慣れるかもしれない。慣れたいかって？　それは分かんねえな。

雑居ビル地下のゲーセンでは、今日もキッズたちが剥きたての角を突き合わせている。