ENo.0268　白土ルネ

「ようこそ皆さんお待ちかね！」
コロッセオの名物実況・オール＝スタンディングのマイクは今日も、やかましい会場の野次よりもやかましい。

「ツィーゲ拳闘倶楽部所属！」
スポットライトがふたつのウォーハイドラを照らす。
今日は数ある興行の中でも小規模なものだ。
「花形」の20VS20―ウォー・ミッション―とは異なり、日々開催される1VS1の賭け試合、アイアンコンタクト。
出場資格もレギュレーションも無きに等しい。

「盲目の壊し屋！三年の沈黙は失った眼の仇討のためかァー！！」
だがそれ故に、何が出るかわからない。
マニア受けは良い興行だけに、実況の声に熱も篭もる。
「ドン・マードックアーンドゴールデンゴート！！！！！」
両目眼帯のライダーが操縦棺より身を乗り出し、観衆の声援に応える。
巨大なツノを備えた金色のウォーハイドラはショーアップの賜物。
実際の沈黙期間は8ヶ月だが些細なことだ。

「対するはァ、しかし残念新参者！IFXA保障措置局所属！」
明らかに場違いな文字列を一切の淀みなく流すのもプロ意識の為せる技。
「ここには公僕の仕事は無いぞ、いいや来たのは子供に夢を与えるため！」
「夢見がちエージェント、フェアメッサーアンドパラメデース！」
こちらも負けず劣らず、大きく手を広げて光を浴びるライダーは満面の笑み。
だが、ウォーハイドラは連結ブロック状の手足が特徴的な他は装飾なども最低限。
典型的な新人であり、故にオッズも酷く偏った。

ゴングを鳴らせ！
ゴングを鳴らせ！
ゴングを鳴らせ！
おなじみ観衆のコール三回と共にゴングが鳴ると戦いが始まり―――

「マードックの狂乱ファイト、ここに健在ーーーーッッッ！！！！！」
「どうせ見えなきゃ関係ない！俺の前に立つのは全員憎い仇！」
「皆さん、大きな拍手と小さな勝ち金をどうぞその手で！！！！」
眼帯を外して雄叫びをあげるマードックはたまに目を開けている気がするが、そんなことを気にするものは居ない。
勝者には栄光を。
では、敗者には何が？

結論から言うと敗者にはなにもない。
その証拠に白土ルネは、自信満々で出ていったフェアメッサーが預けたハズレ券を手に途方にくれていた。

「やっぱり私じゃダメだったよ、じゃあ次はルネ、よろしくね。」
そう言いたいがために全力を尽くす。

フェアメッサーとはそういう大人だったし、ルネはそれに反抗するような子供でもなかったがために。

超兵器ゼ八號はリングに立つことになったのだ。

民間教練大隊Division:Dは禁忌戦争後に高まるウォーハイドラとライダー需要から設立された
軍事教育と目的とした民間軍事会社です。

教練を受ける資格はライセンスの所有
また教練を行う資格もライセンスの所有です。

また教育をうけたライダーに仕事を斡旋することも業務に含まれており
現在は訓練及び実地訓練、そして遺跡への威力調査及び収集を目的としています。

尚、現在探査の都合上いくつかの地上艦艇が派遣作戦指揮所となっています。
業務上全て公示されているわけではありませんが【ラングレー】【Ａヒッパー】【インディアナポリス】の所有を公表しています。

・セクション

【残像領域本部】━【派遣事業部】━【各派遣調査部隊】
　　　　　　　　━【基本教練部】━【各教練部隊】

※格闘訓練特化ユニオンです。