ENo.0311　セティア＝ラムサス

《？？？》

「うん…。
どうやら、彼女をあの世界に送り込む事に成功したようだね？」

薄暗く照明の調整された広い部屋の奥、恐らくは男のものであろう声が響く。
中性的で、どこか底知れない雰囲気をたたえている。

「… ええ。
『大樹の世界』では、どうにも今一つ成長が見込めない様でしたけれど
『霧の世界』なら、どうでしょうねぇ…？」

それに応えるのは、ねっとりとした印象の口調の女性の声。
そこに、含み笑いが続く。

「どうだろうね、彼女は私とは違う。
期待外れな結果になるかもしれないね？ …私としては、期待したい所だけれど」

男は結果がどうあれ、現状を楽しんでいる様子だ。
そして呆れた様な声音で続ける。

「それにしても…
まさか、軍の実験機に手を加える事ができるとはね。
意外に間抜けなんだね、彼らは。

…おかげでこうして『見守る』事ができる」

女は、愉快げに口角を上げ再び応える。

「それだけでは、ありませんよぉ。
『大樹の世界』へ、彼女を派遣させた事も手筈の内ですわ。
これだけ工作するには手間が掛かりましたし、それだけのものを見せて頂かないと… ねぇ？」

フッ、と男は鼻を軽く鳴らす。

「… なに、上手くいくならそれはそれ。
上手くいかずとも… それはそれで見物だと思っておこう。

出来ればやはり、彼女にも道が開ける事を願っているけれどね。ハハハハ…」


そう言って笑う男の背後の壁には、薔薇をモチーフにしたと思われるエムブレムが貼り付いていた――




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《日誌-３》 セティア・ラムサス 記


あああぁ…
もう、イヤになっちゃいます… orz

今度こそはと思って出撃したのに、また機体を壊してしてしまうなんて…！？

… やっぱり、私には向いてないんでしょうか…？
こんな事をしていたら、帰還も適わず死んでしまいます… ぐすん。


そも、私は戦場に出た事なんて実は一度も…
先輩方ならともかく、私なんて… 私なんて…


本当に、生きていけるんでしょうか…？

そも、生きていていいんでしょうかー！？


… ぁ、でも生きて帰らないと…
先輩方どころか両親にも心配を掛けてしまいますね… …


血の繋がらない、両親だけど…
それでも、大切な家族です… かけがえのない、家族。


… … うん、クヨクヨしてたってダメだ。
スタンドアップ、私！！


… けど、本当にどうすればいいんだろ？


ガレージマスターのあのヒトも女性だったけれど、戦う人らしくて…
もしかしたら、何か参考になる事聞けるかな…？


… … もちろん、私はあんな狂気染みた戦いかたはしませんけどー！？


…ホント、参考になるといいのだけど…


他には… …　


ぁ、そうだ。　
確か、あのヒトから資料に『信頼できるライダーリスト』？ みたいなのものがあったかも…

… どこにやったかしら、探しておかないと。


あっ、そろそろ出撃の時間…！


やってやりますとも！　Ip-OS、今回もお願いね…！

移動型ガレージ。
この手の機種は本来、フリーランサーの稼ぎでは手が届きにくいとされている。
設備も上質な品が揃っており、これを調達するための金の流れに妙なものを感じるかもしれない。