ENo.0311　セティア＝ラムサス

《？？？》


残像領域北部――
密林の中、大地に走る巨大な亀裂を見下ろす無骨な印象の機体が一つ。


「… ここが例の、今ドンパチやってる遺跡だな？
今は静かなモンだな… こりゃ幸い、ってか」


コックピットハッチを開き、そこに佇む防寒着姿の男。
一般的な人間種とは、異なる風貌をしているようだ。

周囲は、とても暗い。
ただでさえ暗い時間帯に、残像領域独特の霧が北部の地を包み視界は僅か。

―― 霧。

この残像領域からは、取り払われた筈のそれ。

それがこの北の地には払われず残っている。
この遺跡に存在する『何か』がそうしているのか…


「… … なんつーか、妙な感覚だぜ。

確かに、あの時この残像領域からなくなったと思ったモンだったがよ…
まさか、こんな所でまた目にする事になるとはな」


そして…

再び、自身も企業契約の傭兵とは別の第３勢力として調査にあたっている。

競争相手は他の勢力ではあるが、直接的な戦闘にはならない… 筈だ。

何故ならば、遺跡には守護者が― 実質的な敵対勢力が無数に存在している。
故に足の引っ張り合いには、ならない。そんな事をしていては何の為にもならない。

… だから、気にするべき敵はそれだけでいい。

普段の任務は主に調査に諜報、時たま紛争の鎮圧だが…
今回は『人』を相手にしなくていい、その点だけは気が楽だ。


「『ウチ』も企業と協力して別に部隊は出しているって話だが…
まァ、オレはちょいと特殊な立場だからな。それもそれである意味気楽なモンだ。

… … アイツの方は、上手くやってりゃ良いんだが」


脳裏に浮かぶのは、明るく人当たりの良い女技術者の顔。
今は、一介の技術者ではいられない立場であるが。

かつての戦いの最中で肩を並べ、その末に仲間として並び立つ事になった者の一人。


… 思いを馳せていたら、思わず身震い。
気温が低い事を思い出した。もちろん、かつての戦いの際の寒波とは比べようもないが。

と、その背にコックピットの方から掛かる声が一つ


「… おう、すぐ戻るぜ。
そんなに心配する必要はねぇと思うんだが…

まァ、ありがとな兄弟。

… ってか、そこまで心配すんならお前にもハイドラに乗って来て貰うべきだったか…？」


コックピットハッチを閉じ、小休憩を済ませた後…
ハイドラを駆り、遺跡の調査に取り掛かろうと亀裂を慎重に降りていく。


「そういや、上手くやってるかといえば…
あの軍人さんも上手くやってりゃいいんだがな」


独り言は、霧の彼方に消えていくのだった…


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《日誌-４》 セティア・ラムサス 記



も、もう…　自信が、保ちません…
こんな毎回撃墜される私なんかに、ライダーの才能なんてないですよぅ…orz


今からでも、別のお仕事に… …
といっても… 何のお仕事をすればいいのかわかりません… ね。


それに、このガレージの分も契約破棄って難しいんじゃ…？
何だかお金が掛かってるって話だし…


ぇー… … カニ、コウ、セン？？

えっと…　私、もしかして… 逃げられない…？

うわぁぁんそんなぁぁ…！


…　あっ、手が… 端末に当たっちゃっ… … ぇ…？　


えぇ…？？
えぇぇぇえぇぇーーーっ！！！？


撃墜数…　ランキング…　１９位…　セティア… ラム、サス…？？？


なんですかこれ、そんなランキングに載る様な事した覚え全然ないですよーぅ！？


…　…　もしかして、私… 案外やれちゃう…？


そ、それならいっそ機体構成も大胆にしちゃって… …？
やるのよセティ、頑張るの…！


それはそうと、そうだったわ…

例の『信頼者リスト』を、みてみないと。


えっと…


『ユーリア・クラネルト（と蒼馬）』
『ハーヴェイ＝アボット』
『ミスティア・ローエンブルク』

特に信頼する… って書いてありますね。
けれど、まだ戦場で出会ったことはないです…？

ぁ、メッセージもある…　でもこれは、後で。


『シャーロット』
『メーネ・フライス』

それなりに信頼できると思われる… 話し仲間？
… そう、なんですね。


『バルトロイ・クルーガー』
『ヴェネラブル』

顔見知り、客… … って、それアテになるんです…？？


『コルヴス・コラクス』

話した事があったような無かった様な…　覚えて、ねぇ…って！？
い、いい加減ですー…！orz


他にも覚えのある顔はあるが、調査中…？？


…　ホントに大丈夫なんです、これ？


… … コンタクトを取るとするなら、やっぱり上の方に書かれている人…？

あ、でも…　そろそろ作戦開始時刻かな？



じゃあ…　


ちょ、ちょっとだけ… … …

移動型ガレージ。
この手の機種は本来、フリーランサーの稼ぎでは手が届きにくいとされている。
設備も上質な品が揃っており、これを調達するための金の流れに妙なものを感じるかもしれない。