ENo.0323　第306特殊試験部隊

ニコの体は無かった。
ただ機体に穴が開いているだけ……
ニコが死んだという実感はない。
ニコはいなくなった……
ニコは、いなくなったのだ。

誰が……いや、あの女だ。
あの女しかいない。試験部隊の訓練キャンプに顔を出していた。
あの女……

中佐に話せば「心当たりはない」とのそうだ。
協力している企業に、と言えども
「相手がそう簡単に引き渡す理由はない。事故扱いにしておく」そうだ。

「不満か」
「そうか。中尉、私は昔祖父によく狩りに連れられた。だが私は狩りが苦手でね。
　生き物を追い立てて銃で撃つということが好きになれなかった。
　しかし祖父と行く釣りは別だった。私は釣りが好きだ。あの静かな時間が……」

釣りも狩りもわからないか、と中佐は一笑したが。

「だが後になってわかったものだ。釣りも狩りも同じものだと……
　私はどちらも得意だったようでな。今ではどちらも好きだ。」


同日、中佐のWHが到着した。
雨の日だった……
対気象外套を装着した大型ウォーハイドラが喉を鳴らすように
機械音を上げていた…

「欧州からこの世界に来て退屈していたところだ。
　さぁ狩りを始めよう中尉。」

我々アフラムインダシトリィは
城塞都市キルガールを拠点にする企業ユニオンです。
歴史は古く自由都市時代からの重工業産業の組合を基としており
現在は軍需重工業に切り替えてキルガールの防衛軍受注を中心に生産を行っています。
当領域等には現地での需要調査、およびウォーハイドラパーツの研究開発試験
並びに販売を目的として今回は参入させていただいております。
どうぞよろしく。

■今回のお知らせ。　[第６週]
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
戦況がもどかしい時こそ準備期間と言われております。
方々のハイドラパイロットの方々は装備更新と準備の時、と捉えていただいていると思います。
本日も当社は新たな装備開発と研究、試験運用を続けております。
さて本日は試作の格闘用腕部ですが…