ENo.0113　ブラック・タグ

「それは意味が無いことなのです」

　キバナ・アマに私について知っていることを教えてくれないか、という問いへの答えがこれであった。
　今回はいつもより粘ったとは思う、「必要ありません」と一蹴されながらも何度も問いかけた末の答えが意味が無いなどとは……。

「マスターのことについては誰よりも私が知っています、ですがマスターがマスターを知ったところで無意味と化すでしょう」

　意味が分からない、言っていることが滅茶苦茶である。
　そこまで知っているのであればなぜ意味が無いのか、その理由が知りたいのである。
　その理由に口を閉ざす彼女はいったい何者なのだ……。

「私は私です、私のことは私が知っていれば良いのです」

　なんだそれは……それではキバナ・アマが存在していればいいとでも言うみたいではないか。
　私はいったい何のために存在する……？
　何も知らなくてもいい私はまるで人形か何かか。

「申し訳ありませんマスター、心苦しいのですがそれが『マスター』の命令なのですから……」

　私が……命令を……？
　私は……私は……？

　いったい何者だ……？

当機関は残像領域における医療情報機関です。
人工知能による新型医療情報統合システムの技術研究を嘱託されています。
現在進行中の「■■■■■計画」は――

――故ニヨり中断――
――――――からの出資は停止されタタめ規模を大幅に縮小しておリマス。

霧侵食により施設――――棄シマシタ。

――続セヨ――継続セヨ――

-----

※ユニオン活動は「制御*5」、「素材+1」で固定されます。