ENo.0063　アルマロス

――通信。
音はしないのだが、生体アンドロイドである私には直接この体に通信が入ったことを感じとった。

耳の後ろに手を当てると通信回線が開かれ、眼前に通信相手の立体映像が投影される。

アルちゃんアルちゃん！
ああ博士、ひさしぶり

相手は博士。私というアンドロイドを作った張本人だ。
セキュリティ的問題があって、この地域では実際の立体映像は仕様できず、サウンドオンリーとなる。
声だけではなく、サウンドオンリーって書いてる謎の球体がでてくる。よくわからないが。
黒い球体から、若い女の子のような声が発せられた。

もー、ずーっと連絡くれないんだからー！心配したでしょ～～～
まあいろいろあってさ、便りがないのは元気な証拠って思ってよ
だめです！報告は義務なんだからしないとだめなのー
ええー、そもそもメールでは毎日業務報告してるし…
声をききたいの声をー！それに2人きりのときは『お母さん』って呼んでっていってるでしょ～～
いや、別に私のお母さんじゃないでしょあなた…
生みの親だもんー、作ったんだもんー！これがお母さんじゃなくて何というのかー
ええ、はい、わかったからさ…。こっちは特には問題ないよ。想定通り、任務はやれてるから。
んっ、まあよろしいー。任務も大事だけど、生存優先でねー、もし修復不可能なくらい破壊されたら任務なんかよりそっちのほうが損害大きいんだからね！
はーい
あと、1日1回は通信してきてよね！それじゃあもう次の作業あるから切るけど、がんばるのよ！
し、しょうがないなあ…わかった、通信もするよ。じゃあね、お母さん

――通信が切れる。