ENo.0301　花火や　紅扇

「いらっしゃい。ああアンタか」

うん

「はいはい注文書な。うっわ！　コレまたすげえな！
　どういうつもり……っあ、あの金食い虫載せるのか！？
　止しとけよただでさえ撃ちまくることしか考えてないやつが」

うるせエ、上客に意見すんな

「上客ってのは毎回ちゃんと帰還して、そのたび弾を買いに来る奴を言うんだよ。
　アンタみたいなのは大体そのうち帰ってこなくなっちまう。
　残像が弾切れするんなら儲かるのによお」

残像？

「知らねえのか？　よく言うだろ？
　還らないハイドラは大勢だが、戦場に立つハイドラは減らない。
　奴ら、霊障の残像になって、永遠に霧の中で戦い続けるんだ」

眉唾だな

「眉唾もクソも、ここじゃ実際起こることだ。
　波乗りみてえに電磁波を読んで、自分の望む現象を引き寄せられる奴もいる。
　完全な制御はまだまだ夢物語らしいけどさ、実際できたらサイキックだな」

AKIRAかよ

「アキラ？」

アーどうでもいい。
そんなモヤモヤしたもん。どうでもいい。
私が信じられるのは。
金積めば火薬が積める。撃てる。火と光と音が出る。
それだけだ。

「もう一個くらいなんか趣味持てば？
　アンタが男ならなあ、いい店連れてってやるのにな、
　絶対稼いで生きて帰るぞって思えるような…………
　おい、手前みたいなののカード払いなんか受けるかよ。
　キャッシュ出せキャッシュ！」

チッ

外れに格安で借りたガレージ
中心部から離れたがらんどうの野原にぽつねんと建っている。
利便性は極悪。