ENo.0493　陶玉

[A.D.3111.02.14] [记录开始]
　
　(断続的なノイズ音)

[]　もう目隠しを取っても？

[]　構わない。楽にしてくれ。
　　ああ、でも君のイムはスリープのままで。航空機に乗る上でのマナーとでも思ってくれ。

[]　わかったよ。ありがとう。ミスター……ええと？

[]　クリスティアーノ・ロベッロ。単にクリスでいい。

[]　ありがとう。クリス。

[]　どういたしまして。タオユウ。
　　しかし、国外逃亡の手引きなんて大それた依頼のクライアントが、こんな少年だったとはね。

[]　僕も、まさか迎えの人間が技術者１人だけとは思わなかったさ。

[]　まあまあ、そう言わないでおくれよ。
　　現地のセキュリティマシンに直接干渉するのには、直に俺が来るしかなかったんだ。
　　この国のポートからの脱出に必要なのは、武力じゃあないのは君も良く知っての依頼だろう？

[]　まあ、ね。実際僕は無事にいる訳なのだから、疑う余地はないよ。
　　君の会社の派遣システムは完璧さ。

[]　そうだろうとも。ところで、タオユウ。
　　君一人だけの逃避行となった訳だが、よかったのか？親兄弟だとか……。

[]　うん？……ああ、いいんだ。
　　僕に家族はいないよ。孤児という事になっている。

[]　なっている？

[]　既知の事実だとは思うけれど、あの国では16歳になった国民は、国家電脳防壁の整備兵として徴兵される。
　　通常ならば16になって育成機関に入れられてから、あの退屈で過酷な作業を教え込まれるんだ。
　　でも例外的に、その教育を早い段階から受ける子供がいる。

[]　　……それが君のいた施設に所属していた子供たち？

[]　孤児院という事になってる。
　　けれどまあ、あそこの子供たちの中で本当の孤児というのは少ないのだと思う。

[]　　……それなら猶更、

[]　そうだね、どこかに親はいるんだろうね。僕が木の股から生まれたのでなければ。
　　でも、顔も知らない誰かを伴って逃げれるとも思えないし。正直そうする義理も感じてない。

[]　そうかい。
　　じゃあ、ここからは、今後の話になるんだが……タオユウ。
　　実はいま、この飛行機はNYに向かってる。
　　君のオーダーはロス行きだったが、悪いな。違約金のぶんは負けておくよ。

[]　なんだって？それは……困るな。
　　技師としてなら働き口があると踏んでのロス行きだったのだけれども。

[]　残念だが、向こうは今、鎖国先鋭化が進んでるニホンからの逃亡者でいっぱいだよ。
　　それに伴い、治安も随分悪くなってる。
　　誰かの恨みを買って逃げてるような子供がいたら、どさくさに紛れて売っ払われちまう程度にはね。

[]　わお、それは……こわいな。

[]　君、弊社への依頼料の殆どは、どこぞの実業家のバンクカードからそのまま抜き出しただろう？
　　手際は見事だったがリサーチ不足だ。相手が最悪に悪かった。報復の依頼がうちにも来てたよ。
　　……いや、何も咎めてる訳じゃない、これは、勧誘だよ。

[]　それは、おたくが僕を技師として雇おうってこと？

[]　しばらくは俺の助手としてだけどね。渡りに船って奴だとは思わないかい？食うには困らせないし部屋も用意する。

[]　……アフターケアまでしっかりしてるとは優良企業だね。
　　あのマヌケな金持ちに引き渡される可能性も考えたけれど……まあ、君を信じる事にするよ。
　　どうせ疑ってもここまで来たら同じだし。よろしく、クリス。

[]　うん。よろしく、タオユウ。
　　大丈夫さ。ＮＹに着いたら本社を案内しよう。

　　……ああ、それと。レビューは高評価で頼む。

[录制结束]