ENo.0013　ロコ・シュタール

安全装置を1つずつ、確実に外していく電子の羅列。それらを横目に缶ビールを傾ける。…そうしてやがて、ある一文が綴られ、

『——戦闘システム……バーサーク』
「…O.K.」

僅かに声が上ずってしまっていたかもしれないけど、誰にも聞かれていないのだから気にしないことにした。
…まさか今回もこれで行くことになるとは思わなかったけど……きっとこれが妥当だろう。飲みかけの缶を肘掛けのホルダーへ戻すと小さく息を吐く。

ここ最近“色”に飢えていたんだ。今回はそんな渇きを潤すのには絶好の環境と構成だった。
奴らに俺の炎が通じさえするならどうということは無い。


――護る？　上辺ではそういう役柄に回るわけだけど、実の所そんな情は…
さて、どうだろう。まぁでも全員生還が叶ったらそれは良いこととは思う。

残りのビールを飲み干し、俺は再びモニターと向かい合う。

生き残った者達へ。
これから往く者達へ。
私たちは歌おう、今日この日があることを。
私たちは祝おう、今日この身があることを。

全ての生きとし生けるもの達へ。
健やかに、でもなく。末永く、でもなく。
ただただ只管満足な生と、満足な死が迎えられるように。

乾杯。