ENo.0053　ディヴェル

情報というのは不思議なもので、流しているところに集まったり、集めているところに流されたりする。
自発的に集めたり流したりしているが、それでも思いがけないほどに有用なデータが流れてくる。

『というわけでホイールチャージの挙動が判りました』
「お、おう。大体は判っていたつもりだったけど...」
『ターン開始時のみ、機動が一時的に増加。発動頻度は恐らく車輪、補助輪の機動合計(付加除く)依存。
　EN消費なし(=エンジンが無くても発動)。効果量は(機動+制御)*0.8らしいです』
「らしい？」
『解析で判明したわけじゃなく、流れてきた情報をあてはめたものです。出所は不明ですが』
「んー・・・まあ、なんにせよ感謝だね」

最近の愉しみは電子妖精の報告を酒を飲みながら聞くこと。リュミドラちゃんと酒を交わすのも。
愉しみは増えていくが...多分、限界はあるんだろう。霧と同じで、全く見通しなんて立ちやしないが。

生き残った者達へ。
これから往く者達へ。
私たちは歌おう、今日この日があることを。
私たちは祝おう、今日この身があることを。

全ての生きとし生けるもの達へ。
健やかに、でもなく。末永く、でもなく。
ただただ只管満足な生と、満足な死が迎えられるように。

乾杯。