ENo.0126　コルボ

「そういえば聞きました？
　未確認機のエンジンについて。それはミストエンジンではありませんでした」
「何なんでしょうかね……そのエンジン、霜がびっしり張り付いていて、まるで出来の悪い冷凍庫みたいだったそうですよ」

いつもの作戦前の雑談。
新米上司のメフィルクライアからすれば、他愛もない噂話だろう。
だが残存領域に昔からいる連中にとってはソレは違った意味をもつネタだ。
少なくとも、俺はその話を聞いた時には鳥肌がたったもんだ。
作戦前だって言うのにな。

以前に一度だけ、ソイツと出会った事がある。
出会ったなんてもんじゃなかったが。
フロストエンジンと言っていた。
霧ではなく霜の名を冠したエンジンを積んだウォーハイドラ。
規格外の出力と性能を誇ったアイツ。
正直、ギリギリで相手が飽きたから撤退した　との印象がとても強い。

「ハン、今更やってきてラスボス面か？
　……怖いねぇ、幾ら稼がせてくれるやら」

ウォーハイドラ乗りでもある夜鴉達の集い。
主な本拠地は　砲弾の上に乗っている鴉　が目印の酒場。
情報交換や相互協力をメインにした緩い集いである。