ENo.0070　ユリア・クールハート

『ＴＵＲＮ２２：やらかしっちまった悲しみに』

　やらかしてしまった。
　自室の窓際にハンガーから吊るした、ピンクの膝上ナース服。
　レーダーだ、レーダーが欲しかったんだ私は。そう、コルヴス・コラクスが丁度良いパロットの複製をまた作っていたから、1202cも出して買ったんだ、私は。
　……否、すいません嘘つきました。興味ありました。ナース服の方に。（尚、パロットは厳重に蓋をして部屋の隅に転がしてある）
　かつて施設にいた頃は、訓練で大小問わず傷を負った。その時手当をしてくれた看護師の女性達が、それはそれは輝いて見えて、自分もいつかこんなナース服の似合うボンキュッボンになりたいと思ってました、はい。生憎、胸もくびれも尻も、平凡にしか育たなかったが。
　そんな憧れの品が、コスプレ用とはいえ、目の前にある。これを着ない女がどこにいようか（反語）。

「……………」

　そそくさと身に着ける。鏡の前で一回転。

　うん、悪くない。意外といけるじゃないか、私。調子に乗って、21世紀のアニメキャラみたいなポーズなんか取ってみたりする。

「……………」

　きょろきょろと、誰もいないに決まっている（厳密には、厳重に蓋をしたパロットがそこに転がっているが）室内を見渡す。
　……子供の頃果たせなかった夢を果たした記念を、残してもいいか。
　おもむろに、机の上に置いてあった携帯端末を手にする。画面を自分に向けてカメラ機能を起動する。自撮りってやつだ。
　頬にピースを作った手を当てて、ぎこちない笑みを見せながら。

「お、お注射いたしまあーす？」

　カシャリ、とシャッターが軽快な音を立てた。


「……………」
「……………」
「ユリア、気づいてないよね……。携帯端末が『トリグラフ』のシステムに繋がりっぱなしだって」
「画像も声もダダ漏れだな」
「あー……でも、可愛いなあユリア。こんなのに憧れてたなんて、女の子らしいところもあるんだ」
「……………」
「セロ、ユリアの事を変な目で見たりしないでよね」
「しない。他人の女に欲情するほど餓えている訳ではないし、そもそも彼女は俺の好みの対象外だ」
「……そう言われると、それはそれで複雑な気持ちだよ……」
「とにかく！　『トリグラフ』のシステムに入っちゃったこのデータは、僕が責任を持って処分しておきます！」
「さーて、処分処分……」
「……………（←自分の領域に仕舞い込む気だな、と気づいている）」

To be continued...

Reinclaft-Millia Service

数年前にできた、残像領域の片隅の整備屋。
相場よりほんの少し高い値段で、ウォーハイドラのみならずライダーも整備する。
早い話が、機体のメンテをしに来るついでに、店主が常々作りすぎる飯のおこぼれにありつける整備屋である。
飯だけの利用も歓迎だが、この店にはメニューはない。店主が作りすぎたその日の飯が出されるだけである。

！店および店主（ENo.4）の既知可
！ユニオンに参加せずメッセで利用する体も歓迎
！ロールするキャラを推奨するかも

細かいこと：http://midnight.raindrop.jp/milliapede/union.html