ENo.0579　オルハ・Ｄ・マインド

戦場に行くときには僚機として組んで共に行くことができるらしい。

ミッションを選択して、そこを選んだやつがランダムで一定の人数振り分けられる中、僚機って言うのは一緒に行けて、心強いわけだな。
最初から一緒に行くのは決まっていて、背中を預けられるわけだ。
自分の得手不得手を相手は分かって居るから支えることもできるわけで。

それにそこには信頼とかあるわけだろ？
だって全然知らない奴と組んだりはしないじゃん。

そこに命がかかっているんだから。
こいつに背中を預けたい、そして逆にこいつの背中を守りたいみたいなのがある――と、思う。


ダイスとバルトも多分そんな感じなのだろう。…いや、予測でしかねぇけど。
だって、そもそもオレはここに来たばかりだし、二人のこともまだまだ知らない。
でも組んでから長いみたいだ。

その二人が別れることになった。
って、書いてしまうとコンビ解消みたいになってるけど、そうじゃない。
なんでもバルトがコロッセオに行くらしく、危ねぇからなのかダイスは別のミッションへ行くらしい。

で、空いてるからってことでオレと今回だけ組んで同じミッションに行くことになったわけだ。

一回限りとは言え、ちょっと嬉しいよな。
戦場は知らない奴ばかりで、そんな中で知ってる奴が隣に居るってことなんだから。


――そう思っていたんだけどな。

「……やばくないか？」

他のメンツを確認すると、どうにも攻撃の決定打に欠けている。
かといってサポートがものすごく充実しているわけでもない。
逆に言えばこういう状況ははじめてだった。

（どうする？この場合は何をするのが一番ベストなんだ？）

ここに来て日が浅い。
慣れ始めたとは言え、まだまだ分からないことが多く、出来ることも少ない。

（もし、もしものことがあったらオレだけじゃなくて、ダイス…も…――）

『…い…』
「……」
『おい、オルハ聞こえてるか？おい――』

その声にはっと我に帰る。
「き、聞こえてる！悪い、考えごとしてた！どうやったらここ抜けられるか」
『……始まる前にそれを考えてくれるんだったらハイドラ乗りとしちゃ上々だよ、緊張してねえか？』
「馬鹿にしてるのか？」

ダイスの声はいつも通りの思えた。
緊張、してないわけじゃなかった。
ただその声に少し張っていた気が緩んだように感じた。

『一応男だもんな、聞くことなかったか』
「一応ってなんだよ！？乗ってる期間は短くてもなんだったらそっちを守って―」
と、口から出たものの、流石にそれは無理だな。
『守れるか？攻撃でも防御専門でもねえだろ』
さすがにつっこまれた。そりゃそうだ。オレもダイスもどちらかといえばサポート型だ。
だから――

「や、やれるだけのことはする！サポートとか！」
『よく言った、これできとんと勝てたらお前カッコいいぜ？』

カッコイイ、か。

言われたことないよな、ほとんど。
思えばほんと、カッコイイことしてないもんな。
よくわからないピンクのひらひらの服とか、牛の着ぐるみみたいなやつとか……そういうの着たり…。いや、着せられたり……。
「走馬燈にしてももうちょっといいのあるだろ……」
でも別に勝てば勝ちだ。どんな勝ち方でも。

泥臭くてもなんでもいい。

「――よし…！」

オルハが臨時で作ったユニオン。
反応をあげ隊。