ENo.0158　ルオルカ・マーマレイド

マノ社残像領域支部、ミーティングルーム。

「今回の事件について、上は『下手に手を出すな』などと言ってきた」
「……」

ミーティングルームを静寂がつつむ。襲撃者によるアンフィニ――体にいたのは姉だったが――の誘拐、
場に居合わせたミハネ達によると『得体の知れない技を使う軍服の女性』だったそうだが、話の通じそうな相手ではなかったようだ。

「当たり前なんだがな、相手は無法者、まっとうな方法で対処できる相手じゃない」

本社の立場としてはそんなもんだろうよ、とロドは言葉を区切った。企業は法や暗黙の了解の上で戦う相手への立ち回りこそ得意だが、こういった暴力を持った犯罪者に対してなすすべを持たない。

「……」
「だが」


「個人による報復なら話は別だ」
「！」
「『うっかり』社員が『たまたま』そこにいた犯罪者を『偶然』取り押さえたとしても何の問題もないらしい」


にやり、と笑ったロド、と同時に扉が勢いよく開かれた。
入ってきたのは大仰なブラックボックスを押してきたミハネと、愉快そうに笑うイェツカ。

「やぁやぁ少年少女！暗い顔だな暗い雰囲気だな？その暗い世界に希望の光条を差し込むことこそ科学の役割とは思わないかね！」
「イェツカさん…！」
「この度マノボトリングの支援…ではなく！この私が『趣味で』作った金と素材と技術を惜しみなく注いだ成果をお見せしよう」

箱の中に入っていたのは一そろいの義手義足。

「イェツカ、これは？」
「よくぞ聞いてくれた！これは私が廃棄素材やらパーツをちょろまかして製作した『特製戦闘用義肢』！」

義肢のスペックを滔々と語りだすイェツカを横目に、ロドがモニターに地図を映す。

「相手の足取りは掴めている。行ってくれるか。ルオルカ、アマタ君」
「…わかった」
「はい」
「サポートはリオリカ、アンフィニちゃんは…まだ休んでた方がいいな。ミハネ、ハウエル、ついててやれ」
「はい」「ッス」「わかったよ」
「これよりミッションを開始する」

「我が社を相手取ったことを後悔させてやろうじゃあないか」

何らかの理由によりハイドラに縛りつけられたライダーが集まる。掃き溜めとも言う。
　
一部メンバーの素行不良により世間からの評判は芳しくない。

音楽専念。