ENo.0170　バハルギュル

薄靄の掛かる真っ白な、肌寒い日の朝。
私は晴れやかな心地の真っ只中に居ました。

この土地に赴いてから、どれほどの月日が経ったことでしょう。
戦いに出掛けて、悲鳴を上げて、疲れて帰って、頭を捻って、相談して、また戦いに出掛けて……
思い出すほどに、目まぐるしいばかりの日々。
だけれど、積み重ねた経験は、次第次第に私の気持ちを少しずつ強くしてくれました。
初めての土地で右も左も分からず怯えていた頃の私は、もう居ないのです。

最初は戸惑ってばかりいたペガサスのお世話も、今となってはお手の物。
それどころか、騎馬の操縦だってすっかり上手になりました。
もう飛び交う銃火の中で悲鳴を上げることも無く……という訳には、なかなか行きませんが。
だって、どんなに我慢しても身体が反応してしまうのだから仕方がありません。

それでも、改善した所はたくさんあるのです。
例えば、ペガサスから降りること！
初めての頃は戦ってる最中に腰が抜けてしまい、クリスくんのが助けが無ければ、とても降りられませんでした。
でも、その話も今は昔。
現在の私は、ちゃんと一人でペガサスから降りることが出来るのです。
着地に失敗して、お尻をドーンと地面にぶつけることだって無くなりました。
これは、私が得た成長の中でも、特に胸を張って誇れることです。

このような調子ですから、戦いが終わった日の行動にも余裕が生まれます。
怖くて疲れてどうしようもなくて、ただベッドで眠ることしか出来なかった日々は、それはそれは悲しいものでした。
だけど、今は違います。
ちゃんとお夕飯の支度をして、クリスくんやおじさんと一緒に、夕食を囲む余裕があるんです。
辛くて苦しい戦いの日のでも、こうやってクリスくん達とお話が出来ると元気が沸いて来ます。
だから、おじさんのお店に泊めて貰えて良かったと、心から思うのです。

お友達だって出来ました。

ここに着いたばかりの私に、元気よく話し掛けてくれたソラさん。
新しい土地の文化にも、ハイドラにも興味津々で、色んな事を話してくれました。
少し元気過ぎてビックリすることもあったけれど、根っこは優しくて、とても楽しい時間を過ごせました。
素敵な僚機さんとは、出会うことが出来たのでしょうか。

道に迷っていた私を、親切に案内して助けてくれたモニカちゃん。
優しくて可愛くて、とってもダイナマイトなスタイルの持ち主さん。
一緒にお買い物したり、喫茶店に行ったり、都会の女の子らしい体験をいっぱいさせてくれました。
戦場で一緒になったこともあったらしいけれど、どの機体がモニカちゃんだったのかしら。
後方支援機体は、ちゃんとチェックしてたはずなのだけど……？

サジェンさん、はお友達とお呼びして良いのか分からないけれど。
初めての戦いに臨んで行った私に対して、とても親切なアドバイスを送ってくれました。
またいつか、お会いしてお話する時が出来ますように。

もちろん、かけがえのない思い出をくれたのは、お友達だけではありません。

私が泊まり込みでお世話になることを、嫌な顔一つせずに了承してくれたおじさん。
迷惑もいっぱい掛けてしまった筈なのに、いつもニコニコと見守ってくれました。
その上で、決しておじさんの方から、無闇に干渉しようとしてくることは無くって。
だけど私が話し掛けた時には、面白い話をたくさん教えてくれるのです。

そして誰よりも、私のことを傍でいっぱい支えてくれたクリスくん。
戦場ではいつも先導して、私の気持ちを奮い立たせてくれる大事な僚機さん。
クリスくんが居なかったら、きっと私は今日まで戦い抜くことは出来なかったでしょう。
戦いの場だけではありません。
戦いの外の時間を過ごす間にも、私の気持ちの支柱になってくれたのはクリスくんでした。
元気の無い時には励ましてくれたり、我が儘もいっぱい聞いてくれました。
機械のことが本当に大好きで、暇さえあれば沢山教えてくれるものですから。
いつの間にか、私もずいぶんと機械いじりに詳しくなってしまったように思います。
クリスくんはいつも丁寧で、そして優しい人なのです。

気が付けば、戦いの契約期間も残すところ4分の1程度。
最初は火の車だった懐具合も、今ではすっかり豊かなものとなりました。
これならば、故郷に送る分を差し引いても、かなりの余裕が出来るはずです。

もし出来ることならば、この戦いが全て終わってしまう前に。
特にクリスくんとおじさんには、何かお礼が出来ないものだろうか。

そんなことを考えながら、朝食の支度をしていた時でした。

「こんにちはー。
バハルギュルさん宛てに電報です。」

電報？　はてさて、珍しいものです。
そういえば、今後の戦場について大きな動きがあると聞いた覚えがありました。
だとしても、宛先が私だけというのは少し奇妙に感じれます。

釈然としない思いを抱えながら、私は文面に目を通しました。

薄靄の掛かる真っ白な、肌寒い日の朝。
私は晴れやかな心地の真っ只中に居ました。

よぉ、ここはおじさんの家だ。
おじさんって誰かって？おじさんはおじさんだ。
CVは大塚明夫で頼むぜ。

「おじさん、誰に向かって話してんの…」


おっと。こいつは俺の親友とこのガキ。名前はクリスティアン。
女子みてぇな名前してるが生意気な坊主だ。
こいつをうちで預かることになったついでに、ユニオンとして自宅を開放してみることにした。
おじさんは整備士やってんだ。機体を置けるでけぇ格納庫も整備道具もある。
多少は役に立てると思うぜ？
それから、うちは増築に増築を重ねた結果、軽く迷子になれるくれぇには
家ん中が広いからよ、使ってねぇ部屋適当に使ってくれてもいいぜ。
ま、片付けねぇとゆっくり休めやしないがな。
そこは自分でなんとかやってくれよ。好きに改装してくれてもいいぜ。
そんなところだ。よろしくな。

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ENO.168クリスの親戚のおじさんの家系ユニオンです。
宿屋としても活用できます。ロール用にどうぞ。（別に住まなくてもユニオンには入れます）
玄関から入り大広間を中心に食堂（共用）、シャワールーム（男女別）、トイレ（男女別）、おじさんの部屋、増築した数多の部屋と繋がっています。部屋数は不明。廊下や階段が入り組んでいるのでわかりやすい場所を自分の部屋にしましょう。いっそ壁際の部屋を取って、外へと繋がる扉を作ってしまえば迷子にならずに済むかもしれません。
離れに格納庫、道具小屋なんかもあるようです。
部屋の広さや数はお好みで。ただし片付けないと使用できない状態です。
食堂は、数人が同時に使っても大丈夫な広さのキッチンが併設されています。
食事は基本的に自分で用意することになりますが、たまにおじさんがいっぱいカレーを作ります。

宿代は、いらなくなった機体のパーツで。
（ロール上の設定です。実際のやりとりは発生しません）

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成長方針：射撃3　整備2
ユニオン購入：その時々による