ENo.0505　セイラン＝ルーデ

要塞戦は、滞りなく終わった。
敵の想定も出来なかった以前とは違い、備えは万全だった。
想定を大きく外れることもなく、恙なく戦闘は終了した。
不満点といえば、自身の戦果がそれほど上がらなかったことだが……これは元々あった問題であり、次回から対策していけば良い。

「成長、か」

人間の素敵なところだ、と誰かが言っていたような気がする。
セイランは誰かが成長する瞬間を見たいと思っているが、いざ自分のこととなると、どうにも実感が沸かなかった。
それは恐らく、日々を過ごしているうちに身に付いたものだからであり……彼女らのような、精一杯の足掻きの中で得たものではないからだろう。

「ふ、ふふふ」

セイランは今、自室内でモニターを眺めていた。
表示されているのは、幾つかの戦場の記録。
普段は軽く眺める程度に済ませるそれを、今回はじっくりと見て楽しんでいる。
敵陣を跳び回り、攪乱して。只中を突っ切って、ミサイルを全て撃ち落とし。
そうやって活躍している様を見ていると、どうしようもなく切ない気持ちになる。
ああ、この目で見てみたかったと。願わくば、共に歩ませてくれと。
それはまるで、いつか本で読んだ恋というもののように、胸を焦がしてやまない。

「こういう時は、褒めてやるものだと聞いたことがあるが……」

そのやり方は、よく分からない。自分自身に、そういう記憶がないからだ。
わざわざ誰かに聞く気にもなれず、かといって何もしないというのはどうにも気持ちが悪い。

「……要は、何か施しをして、成果を肯定するということだろうか。……ふむ」

「……食事にでも、連れて行ってやるか」

意味を持たせるということも含め、少しばかり上等な食事だ。幸い手持ちの資金には余裕があり、溜め込んで何かをする予定もない。
ルーチェはともかく、ユメの方がどう思うかは分からないが……それはそれで、少し反応が楽しみでもある。
この機に少し休んでもらうのも、良いかしれないな。

残像領域のどこかの町にある、行き場のない者の寄り合い所。運営は気まぐれ。
利用・改築自由の集合住宅。2LDKの5階建て。
管理者に御用の方は、3階の角部屋まで。

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ユニオン活動：現在は制御*5
ユニオン購入：経験値+1、またはAP+10%