ENo.0526　CSMC-65 SWARM of HORNET

「……以上から、この領域において、ミサイルによる火力支援は、１００連装ミサイルを複数搭載可能な積載能力と、グリスターユニットによる反則的な離脱性能により完成形を迎えており、これ以上の戦術的な革新は認められない」

SwarmSystemが学習した戦闘データ。
それを目の当たりにした、俺自身の戦闘レポート。

……そして、ミサイルキャリアーの機体データ。

数ヶ月間、我々が生と死の間を歩んできた日々は、掌に収まるメモリーへと収まってしまう。


「さて、後はこれを届けるだけだな」
弾頭に記録媒体を搭載したミサイル。
殺すための炸薬は、その全てを推進剤へと換装されている。

「発射シークエンス始動。……目標未設定」
「近距離シーカーを切れ。トランスフォームバレル、バリスティックモード」
「了解。GPSオフライン。慣性航法によるスタンドアローンモードで発射します。着弾地点を指定して下さい」

「目標地点なんてねぇよ。限界まで遠くに飛ばせ」
「了解。エンジン点火。……発射」

爆炎が一体を包み込み、白煙が空を貫くように天へと伸びていく。

「これが俺達の最終報告だ」

操縦棺の中で一つ伸びを打つ。

これで「俺達」の仕事は終わった。


役目は終えても生きる意味まで失った訳ではない。
義務もないし、証明も必要ない。
ただ望むままに強さを求めていい余生のようなもの。
その強さの一片にミサイルがあるかもしれないし、そうではないかもしれない。
後は「俺」として生きていい、長いかもしれない刹那の一時。


「ま、後は好きにやろうぜ？」

とりあえずミサイルを撃ちたい

空対空ミサイルとかSAMとか迎撃ミサイルとかコンテナミサイルとか納豆ミサイルとか皆好きでしょう？

そうでもない？そう…