ENo.0071　アキラ・ハリアエトゥス

俺の名はアキラ。アキラ・ハリアエトゥス。

はじめに書いておくが、これは俺の日記のようなものであり、誰かに向けたメッセージなどではない。
万が一これを拾ったりしたのであれば、読んでもいいがその後に捨ててくれ。


俺が残像領域にやってきたのは五年前の大戦の最中。
わけもわからないままに明日の日銭を稼ぐためにスクラップのハイドラをなんとか動かし、今では──おそらく──一端のライダーになっている。
もっとも、俺の主観時間ではまだ一年も経っていないのだが。

愛機は元・スクラップであるウォーハイドラ“パンディオン”だ。
命名したのは俺。名前の由来はある猛禽で、俺の一番好きな鳥の名だ。
セッティングは飛行特化。状況や装備次第では逆関節脚部を使用もするが、基本は飛行ユニットを脚部代わりに装着する。

わけあって今はまたオーバーホール必須な大破状態だが……またこいつを修復し、この領域の空を制したい。


せっかく晴れ渡ったこの蒼穹を翔ぶために用意していた飛行ユニットが無駄にはなったが、新しい領域というのにも興味を惹かれる。
もとより、大義や思想で戦っているわけではない。
縛られるのは嫌で、こうして好きに生きる道を選びたかったからこうしていたに過ぎない。
であれば、また面白い物があるのならそこに行くというのもいいだろう。


そう思って行方不明扱いとなって再編されたハイドラ大隊へと再登録した。
……いや、元々はスクラップに残っていたライセンスを自分の物にしていたため、実質は新規登録となる。


この五年で名を上げたライダーたちもあえなく散っているという遺跡領域（未知領域、放棄領域、未踏領域……なにかピンとくる表現はないだろうか？）に多くのライダーが集結していると噂に聞いた。
出遅れられはしない。慣れ親しんだガレージにようやく戻ってきたハイドラ運搬用のトレーラーにさっそく“パンディオン”を積み込み、前人未到の北の果て、ドゥルガーの寝所へと走り出した。

廃棄された様々なものが集まり、
それを目当てに人々が集まり、
集まるために様々な建物が増えていった地区。
ハイドラパーツの素材になりそうな質の資材も転がっているようだ。

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