ENo.0015　Rix.C

社員証に導かれるまま、そこには多くの機械……と思われるものが整然とも無造作ともとれる置かれ方をしていた。そのほとんどの近くには人もいる。
間違いない、同業者――ハイドラライダーたちだ。
私も保護材に包んだ機体を運びつつ、受付へと歩み寄る。必要事項を記入して、私は後戻りのできない道をまた進む。

別の日、私は再び霧の中へと向かっていた。
「今回は模擬的な戦闘訓練です。番号が呼ばれるまでしばらくお待ちください。では次のブロック……」
受付の機械的な声が、ライダーたちを吸い込む。

「……っ、はっ、ははっ！」
終わってみれば、損傷したハイドラがいくつも転がっている。もちろん私のものも。
初陣は見事にしてやられた。幸運だったのはまだ「模擬」だったということぐらいだろう。
完全遠隔操作のため他の連中より被害こそ少ないものの、制御の都合そこそこの距離にいなければならず破片だの何だのが飛んでくる関係で高みの見物とはいかない。尤も影響を受けるまでもなく傷ものの身体ではあるのだが。
どうにか修理と治療を終えた私は、同じく模擬戦闘を終えたライダーたちとともに霧の外へ――愛する者のいる家庭へと帰る。

霧の奥から、誰かに見られている気配を感じながら。