ENo.0109　エンセイル・フェノメノン

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オーク――森の擁護者
緑色の肌、豚のような鼻、猪のような牙、おまけに脂肪に包まれた大きな体……それがオークである。
二足歩行で怪力、その見た目からは想像もできないような俊敏さで、まともにやりあえばまず勝ち目はない。
森のならず者、緑の大豚、汚らわしい肉団子……古の時代のオークの呼び名には、目を疑うものが散見される。なまじ同じ二足歩行であるせいか、ヒトの目には彼らの姿が余計目におどろおどろしく見えてしまったのだろう……それにしたって言いすぎであるが。
彼らの住居は基本的に森のなかに存在し、そしてそれらはひとところに集まっている……つまり、集落を作っているということが、最近明らかになった。
森の狩人たるエルフとは、長年対立関係であったと思われていたが、案外仲がよいということが判明している。
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「読んだよ」
『ワールドゴージャー』。操縦棺の中に本を持ち込んでいたエンセイルは、通信回線を開いていた。
『なんで名乗らないかなー嬢はさー？』
通話相手は、彼女の友人で、北方とは離れたところで古書店を営んでいるミソラだ。
『ま、開口一番報告してくれるのも悪くはないんだけど』
「我が親友ならきっとそう受け入れてくれるって信じてたからさ」
『はいはい……で、どうだった？』
「案外よその学術書ってのもいいもんだね。正直何言ってんのか分かんないけど、想像するのは楽しい」
『わかってくれるか友よぉ～！』
「はいはい、またなんか見繕って『サルガッソ』まで送っといてよ」
『『サルガッソ』？ もう着いたんだ』
「まーだ。まあでも届く頃には着いてるでしょ」
『はーん？ なんとも嬢らしいことを……オッケー、楽しみにしてな』
「頼んだぜ親友」

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「……ふぅ」
通話を終えて、エンセイルは一息つく。ああ言ったものの、『サルガッソ』のあるセクション1に辿り着くには、ひとつめのゲートを超える必要がある。キャンプが出来ているほどであるから、さほど警戒も厳しくないであろうということは推測できる。おまけにこちらは大隊だ。およそ負ける気はしない。が、油断したときこそヘマをするのはこの世の常であるし、気を引き締めることに越したことはない。
「そう、できることをわざわざ失敗してやる道理はない、ないんだ」
自分に言い聞かせる。息を整える。そして、

「あ、もしもし？教団ですか？壺買いたいんですが。割ってみたくて。え？割ったらダメ？じゃあ割りませんので。……なんですかその声！疑ってるー！」

エンセイルの友人であるミソラが店主を務めている古書店

……の、名前を借りたもの
(突っ込まれて渋々説明文を書き足した跡がある)