ENo.0246　テレフォン・R・ラパーニクルス

俺の家は貧乏だった。
元々稼ぎの少ない家だったし、やたらと姉妹が多かった。そして、財産なんてほとんどないまま両親はぽっくりといってしまったのだ。
姉がなんとか養ってくれようと奮闘して、ハイドラライダーとなることで俺たちの生活はだいぶ良くなった。ライダーとしての契約期間が終わった後、俺以外の家族皆別の世界へ移り住んでしまったが。

両親の墓（以前はてきとうに埋めていたのだが、お金が入ったから作り直した。遺体は見つけられなかったので形だけだが）を掃除した後、ついでに家も掃除していると、姉が書いた日記を見つけた。持っていってなかったのか。
記録なんて柄じゃないな、と思いながらも、何か参考になることを書いているかもしれないと思い読んでみた。そして俺は衝撃を受けた。

「それ、俺のじゃなくて妹の好物じゃねえか……」

俺の好物をミミズ焼きだと記述している。俺は覚えているぞ。お前の好物がミミズフォンデュであることを。妹弟の好物も覚えている。

やはり姉はアホなのだと思った。
機体になんとかミミフォン号とかいう名前をつけるくらいアホであった。

「名前…。俺だったら……スーパーハイパーテレフォン号とかにするかな……。うん、スーパーハイパーテレフォン号だな」

なんてカッコいい名前なんだろう。天才かもしれない。
姉の日記を放り出すと、スーパーハイパーテレフォン号の元へと向かった。
俺は姉のようにハイドラに変な名前をつけたり、妹たちの好物を間違えたりなんてしない。きっと、姉よりも上手くハイドラに乗ることができる。
だから、今回のセクション1も、きっと大丈夫だ。