ENo.0325　"Black Star"

【2日目】
「〜〜〜〜の代わりに無数の銃声と迫撃砲の轟音で持って奴らを褒め讃え、殺し尽くそう！！！」

　全く……またか。この前の戦闘を終え、デブリーフィングと機体構成に疲れた私は出撃前までに眠る予定だったが、いつの間にかついていたラジオが大音量で騒音を流していた。私はこの犯罪行為に等しい轟音をかき鳴らすラジオの電源を引っこ抜くと、再び汚れた安ベッドに横になった。シミのついたコンクリートの天井を眺めながら、この前の戦闘を再び思い返す。

　実に酷いものだった。いや、出撃前から可能性は考えていたのだが、私のウォーハイドラはやはりまだ敵の攻撃に何度も耐えられるほど強固ではなかった。粒子砲撃の青い光が目前に迫った時、もはや私には為すすべが何も無かったのだ。実に滑稽だ……これが前回の戦争を生き抜いた者の腕前……

　いや、『私』は違うか。記憶(アイデンティティ)を失った、よくわからない人形。かつての面影を思い出そうと、ただがむしゃらに戦うしかできぬ存在。これのどこが大戦を生き抜いた英雄なのだろうか。記憶を失う前の『私』は、あのような機体、あのような戦場であっても生き抜いてみせたのだろうか……？

　ガレージを一望できる内窓から覗く、”Black Ster”……黒い星のペイントが人工の光を照り返し、本当の星のように輝く……あれだけがかつての私と、今の私を結びつける……だが、本当に？ 本当にそうなのだろうか？ あれは昔もあの色だったのだろうか？

　だめだ、寝ていられない。あの爆音のラジオのせいで眠気がかき消されてしまった。頭が冴え、無駄なことばかり考える。もう一度、次回のブリーフィングを確認するか。目的、セクション1のゲート確保、もしくは突破。目標:デバステイター・センチネルの破壊。あの”遺跡”に侵入しろという無茶なミッション。そしてそのゲートに待ち構える、強敵と噂されるデバステイター・センチネル……企業の奴らめ、捨て石はどこまでも使い潰すつもりらしい

　やることは変わらない。私の機体を他の誰よりも頑丈にして、敵の前に出て盾となり、そして場を制圧する。端末を開き、この作戦を奴に共有すべく、アドレスを探し——困惑した。私は、誰と作戦を共有するつもりだったんだ？ 私には記憶を失ってからこの五年、バディは誰一人いなかったはずなのに……

　突然、出撃のサイレンが鳴った。時間が早まったか……チッ、あの騒音も無駄に役に立ちやがって。それに私は疲れてるのに……いる筈もないバディに作戦を共有しようと思うくらいには。ハハハ、この前の撃墜が響いているな。だが戦場は待ってくれない、か……

整備ユニオン
ユニオン購入は最序盤のうちは素材+1
その後は基本経験値+1、様子を見てAP+10%

かつて残存領域に存在した兵器研究開発機関らしいが、正式名称は忘れ去られ、その標識も掠れてほとんど読み取れない。そのため、資料に残されたそれっぽい名前が当てられ、トレードマークも掠れたものをそのままコピーして使っている。当時の人員は全て撤退してしまったが、旧基地に残された試作品や資料は未だに多く残っている。少なくともしばらくの間は、ここの遺産が尽きることはないだろう