ENo.0184　パスタの妖精

力──

それはことを為す源流
そして、事象の価値を表す単位

力には様々なものが存在する。
知力・財力・権力・暴力──

力は力を呼んだ。
力を持つものは力を集め、
力の格差をもたらした。

暴力は権力をもたらし、
権力は財力をもたらし、
財力は勢力をもたらし、
勢力は暴力をもたらす。

より力を持つ者は、
より力を持たざる者を押し退け、
より多くのことを為し、
より大きな力を持つ。

疑う余地もなく平和で、
図らずも平等で、
ただただ、無為に正しかった。

その中に、
いつからだろうか、
小さな、静かな、
理想を求めた地獄があった。


力はなく、
理もなく、
限りもなく。
ただ延々と続く
その地獄には、

寵愛に満ちた偽善と、
慈愛溢れる忘却が、
とめどなく、渦巻いていた。



おかしいと思った。

何かが欠けている。
そう思った。


彼女は

優しくはなかった。
勇気を持てなかった。

失うことが怖かった。

臟を満たし続けることでしか、
生きることができなかった。


生きていると信じたかった。



「ヒルコ教団なんて大層な名前の宗教があるらしいけど、実際のところどれだけの力があるんですかね」
変なうわさと数分前まで鉄くずではなかったなにかを尻目にのんきに呟く。

「こんなところまで来てまで教団なんて、頭が良いんだか悪いんだかよく分からない集団ですよね・・・。
よくわかりませんがあんまり関わりたくはないなぁ・・・」

とぼとぼと歩きながら呟くその口は、
いまだ閉じず。

パスタさんのキッチンですね。おいしいよ🍝