ENo.0201　水槽の脳髄

《だ――――――うるせえうるせえうるせえうるせえ！！　どーにかなんないのコレ！？》
「といっても、僕らには何も聞こえてないですからね。聴覚野に直接バイオ融合が作用していると考えられます」
《いいの！　原因とかはこの際どうでもいいの！！　こんな延々『がんばるぞー』聴かされ続けじゃ頑張るどころじゃねえよマジでさ！！》
「ノウさん、先週の本社調整以降はずっとその調子ですよね。でも聞いてください、グッドニュースがあります」
《えっ何何？　本社からこれを何とかする何かが届いたとか？》
「遺跡探査を行うライダーの中でも、ノウさんが最も白兎生体化学へ貢献しているとの話がありまして。
　つまりバイオ融合へ最も適した身体……いや脳か、に改造されているんです。
　ノウさんはHCSのみではなく、バイオ兵器をも最も上手く扱いうるポテンシャルがあるんですよ」
《はっは、そりゃあ俺だからな！　そんじょそこらの人間とは身体そのものが違うワケよ……で、何？》
「それを元に、社内ではこのままバイオ兵器の運用方面に舵を切ろうという話になりまして。
　つきましてはバイオ兵器の運用のために、『オーヴァルック』のアセンブルに大改修を加えています」
《エッじゃあ俺戦場でもこの声と一緒なの！？　死ぬって！！　絶対死ぬわ俺！！》

生体脳使用ハイドラ『オーヴァルック』のサポート専門チームの待機所。
『オーヴァルック』帰投時は機体と生体脳の保全を行い、出撃時は戦果査定用の戦闘中継を見ながら手に汗握り、時には野次も飛ばす。