ENo.0147　フェティヤ・クェリフィート

***

私は田舎町の車掌だった。

駅が近づいたら、その名前を言って、止まって、扉を開けて、待つ。
お客様が全員移動したら、扉を閉めて、また次の駅へ。

そのサイクルの繰り返し。日常だった。
つまらないと感じたことはなく、生きがいであり、楽しさだった。



まさか突然終わりが来るなんて、思ってもいなかった。

電車ごと、私を別世界へと連れ去った霧。
日常が終わってしまったのは、あれのせいだ。

『私』は霧が嫌いだ。

***


…………しばらく、寝てたみたいだ。気が付いたら電車の座席のとこにいた。
最後は……たしか、戦場。モーヴェがおちて、そのあとおれも。

……アークティカがちょっとボロくなったかもしれない。
おれの翼からは、大事な大事な羽根がちょっぴり抜けてた。
うう、手入れしてたのに……まあでもすぐ生えてくるからダイジョーブ！
おれはつよいからな。


……最後、「オーバーロード」とかなんとか聞こえたけど……何だったんだろうな。


明日も頑張ろう。

壊れてしまった、もはや時代遅れ、彼氏にフラれた腹いせ。
あれこれの理由で積もったジャンク品の山の中。
打ち捨てられたようで、実はとても手入れの行き届いた三段櫂船型ハイドラが一機。
ある一人の幽霊が、そこで暮らしているのだ。


「メシと寝床？必要なら出すけどオレあんま料理上手くねえよ」