ENo.0125　偽りの射ち手

「お前って、いつからここにいるんだ？」

　相手にとっては何気なく投げかけられたこの言葉……少しだけ、僕にとっては後ろめたいものがあった。

　今日も蛙子さんとの軽い打ち合わせを終え、いつもの廃墟のようなアパートへと帰宅する。……所有者は今どうなっているかはわからないが、間違いなく帰ってこられたら不味いことだけは間違いない。

　電気も水も通っていないが電力は戦場のエネルギータンク（ "敵だった物" から拝借したものだ）で、水は空中の霧を水へと変える機械を買っていたのでそれを稼働させており、ここでの生活そのものは案外悪いものではない。　

　「……メルミリア」

蛙子さんから教えてもらった場所だ、ここでは確実に雨風が凌げる他、軽い食事まで出るのだというから……少しだけ、行ってみようかと思った。

　「いつがいいかな」
　＜どちらにせよ、あまりここにはいられないだろう＞

　少なくとも、それだけは確かなように思えた。


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「まず、一つわかったこと」
「社長はレーダーやカメラの位置がわかる」

＜ああ、朝飯前だ＞

「ということは、僕がそれを狙って撃てば敵の行動は止まる」

＜そういうことだな＞

「移動そのものの速度を上げるために予め蛙子さんの周囲にトンネルを作ってそこを周回、移動時間の短縮もしたい」

＜いいんじゃないか＞

「……うん、このくらいかな」



～（ウェストミンスターの鐘）～



＜狙いを定めている間に砲が蹴り折られたぞ、位置の特定も既に終わっているようだ＞

＜ルート上に爆薬を確認、退ｈ＞

響く轟音、崩れる土……
こうして僕らの機体、キールヘイズは崩落した土砂に飲まれ、あっという間に動けなくなったのである。

「えっと……蛙子さん、非常に伝えにくいのだけれど……」
「位置は発信するので、良ければ掘り起こしてもらえませんか……」

嗚呼情けなや、あの完璧だったプランは、何処へ。

それは地中に出来た、真っ直ぐに伸びる洞窟のような空間だ。

一つ明かりを付けたのなら、きっと貴方はそれが人工のトンネルのようなものだと気付くだろう……そう、丁度中型のハイドラが通るほどの。

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