ENo.0266　フレデリック・ボウマン

「それでも君は生きている。今はゆっくり休むといい。復帰するにしろ、ライダーを退くにしてもだ。」

出撃の後のある時間。
D2が保有する駐屯地の病室。そこでは出撃で負傷した兵士が横たわり……
男の話を聞いていた。

「己の体を失うというのは、ただ自身の体が欠けるというわけではない。」
「心と体は一つ。体を失った心と新たな体をつながなければならない。」

負傷兵の体は一部が欠けていた。
五体満足ではない。しかしこの戦場が常在する世界では幸運な方だ。
まだ生きている。意思もある。動くことができる。
希望はあるのだから。

「日常生活に戻るにしろ、戦場に戻るにしろ焦る必要はない。今一度自分と向き合い新たな体と歩き始めよう。」

新しい腕が取り付けられるにしろ、そうでないにしろ……
また一度、新しい体と心をつなぐ時間は失ったことがない者が思う以上に必要とされる。
だがそれでもという。ライダーをやめて、ライダー以前の生活に戻るにしろ
ライダーに戻り戦場へ戻るにしろ見捨てることはしないと告げる。
戦場で負傷するのはよくあること。運の良し悪しでもない。
なってしまったらそこからどうするかではないだろうかと。
何を選んでもその決断を優先するし、力を貸そうと励ます……
何度か見ているがライダーを続けるものが殆どであり、やはりその特殊な才能と呼べる資格を持ち続けることを選ぶことを望むのだろうとも…

「少佐、お時間です。」
「あぁ……すまない。もうそんな時間か。」

杖を鳴らして男を迎えに来た少女もまた、盲しいており……見た限り両手両足も生身ではなく
戦場で負傷したか、あるいは負傷してから戦場に来たのか。雰囲気はライダーであることを告げていた。

「また来るよ」

負傷者にそう告げれば、杖をつく少女とともに病室を後にしていく。
並ぶようでいて、しかし男を先導する少女は口元に薄く微笑みを浮かべながら用件を続ける。

「調査部からの情報ですが、探索の本格化にあわせて召集を行うとのことだそうです。」
「何もない……ということはないでしょうね」

何もなければ越した事はないのだろうが、何かあればそれこそ
神のみぞしるものなのか。今は何もといえず……

真実は霧の中である。

民間教練大隊Division:Dは禁忌戦争後に高まるウォーハイドラとライダー需要から設立された
軍事教育と目的とした民間軍事会社です。

教練を受ける資格はライセンスの所有
また教練を行う資格もライセンスの所有です。

また教育をうけたライダーに仕事を斡旋することも業務に含まれており
現在は訓練及び実地訓練、そして遺跡への威力調査及び収集を目的としています。

尚、現在探査の都合上いくつかの地上艦艇が派遣作戦指揮所となっています。
業務上全て公示されているわけではありませんが【ラングレー】【Ａヒッパー】【インディアナポリス】の所有を公表しています。

・セクション

【残像領域本部】━【派遣事業部】━【各派遣調査部隊】
　　　　　　　　━【基本教練部】━【各教練部隊】

※格闘訓練特化ユニオンです。