ENo.0245　クリス・バーミリオン

「あー、もう！　わかんないよ、こんなの…」

ユーティラスの破損箇所を見つめ途方にくれる。
幸い非常に損傷に強い設計のようで、まだ戦闘に支障はきたしていない。
しかしこのまま修理できなければ、スクラップになるのは時間の問題だろう。

整備は万全にしなければならない。毎週のように依頼を受け戦わないといけないのだから。
仕事は逃せない。少しでも多く金が必要だ。これからも私たちが生きていくために。

しかし解らないものは解らないのだ。

「今さら戻って頭下げても。ムリだよねぇ」

ユーティラスはフリーの科学者のところから盗み出したものだ。
そいつらが特定の組織に属して無いせいで、規格外のパーツばかりで構成されている。
おかげで機体の補修に悩まされている。わけの解らんパーツが多すぎる。

憂鬱だ。

手を止め、気分を変えたいと操縦棺から抜け出そうとして。すぐ止めた。
どうせ今日も世界は霧に包まれているだけなんだから。

「これから。どうなるのかな。私たちってさ」

誰も答えてくれない。

私たちを覆う霧は今日も深い。