ENo.0357　赤田　幸

「・・・・よし・・・・改めて・・・・状況確認をしようか・・・・？」

ある機体に乗っている小柄で少々ふくよかな姿をした少年が難しい表情をして、ぶつぶつと独り言を呟いている。

「ええと・・・・確か、あの日は・・・・晩御飯を食べた後に、何時ものようにネトゲした後に動画を見て・・・・そのまゝ寝落ちしたんだよね？」

『誰か』に問いかけるように独り言を呟く・・・・すると、何処からか声が響いた。

「うん『俺達』も一緒に見てたから間違いはないよ～まぁ『コウ』が寝落ちした時に俺達も結局、寝落ちしたけどねー」

聞こえた声は『コウ』と呼ばれた少年の声よりも『明るさ』と言うよりも『子供っぽさ』を感じさせる声・・・・そしてまた『別の声』も何処からか響く。

「で・・・・寝落ちして目が覚めたら俺達の部屋じゃなくて何だかの機体のコクピットに座ってたって事か・・・・ホントに一体どうなっているんだか？」

『もう一方の声』はコウと呼ばれた少年や先ほどの声よりも幾分『落ち着き』のある声だった・・・・だが『この声』も、『もう一方の声』も『コウ』と呼ばれた少年の『声色』と良く似ていた。
これこそ兄弟・・・・それも『双子』や『三つ子』とかと同じ位の、そっくり具合であった。

コウ「一体どうなっているかは僕が知りたいよ・・・・てか・・・・夢じゃないみたいだし・・・・ホントに訳が分からないよ・・・・」

「だねーほっぺた、つねっても痛いって言ってたしー夢じゃないなら何だろうねー？」

「・・・・漫画とかゲームとかで良くある異世界に飛ばされちゃいましたーじゃあるまいし・・・・って・・・・やっぱりそれ系？」

コウ「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

コウ「・・・・・認めたくないけど異世界に飛ばされちゃった？」

「・・・・マジ？」

「・・・・嘘でしょ？」

・・・・残念ながら嘘ではなかった。
彼等の住んでる『現代的で日本によく似た国』と言うか『現代の日本』がある世界とは全く違う『世界』来てしまったのだ！

因みに飛ばされた彼の名は『赤田 幸（あかた こう）』。
彼の住む世界でも非常に珍しい植物の亜人『トレント』と『人間』とのハーフの１７歳の少年である。
そしてコウとは別の『声』の持ち主『２人』の事は今はまだ伏せておこう・・・・とはいえコウとは非常に近い存在ではあるのだが。

さて・・・・謎の機体のコクピットで、びくびくと蹲ってる『コウ達』はコレから一体全体どうなって行くのか・・・・無事に元の世界へ帰れるかは・・・・これからの日々での頑張り次第だろう・・・・多分。