ENo.0174　アルティフィシャル

「ーーほらよ。今回の報酬だ」

乱暴に放られた紙束が軽い音を立ててテーブルの上に落ちる。受け取り、ぺらり、ぺらりと枚数を数える

「…。最近報酬が少ない気がするんだが、」

「そりゃお前さんの連れて行くパーツの数が少ねえんだよ。3つ4つ持って行くくらいじゃ、向こうからの報酬もそんなもんさ」「…また最近。戦場に出るハイドライダーが増えたからな。1人あたりの配当もそれだけ少なくなる。金が欲しいなら自分好みの武器だけじゃなく、もっと多くのパーツを持って行くか、企業の専属にでもなるんだな」

主人はディスプレイに軽く打ち込み、検索結果を表示させた。今回の戦績が表示されている

「ま。こんな戦績じゃどこの企業も契約を結んじゃくれないだろうがな！がははははは！」「俺に不満を言われても困るぞ。支払いは俺が決めてるわけじゃないし、戦闘の腕はお前さんの力量だからな。」

電子パイプをふかしながら語る彼の話をまだ納得できないという顔で聞く。

「 ……そう睨むなよ。戦場に白兵戦に出て傷も少なく帰還してくるのは簡単なことじゃねえ。そういう才能は持ってるってわけだ。」「お前さんより報酬を受け取っても修理費や弾薬費で火の車のような連中だっている。それに比べればお前さんもお前さんのハイドラも恵まれてる方さ」

言葉を聞き終えるか間もないうちに部屋から出て紹介所を後にする。
バイクにまたがりエンジンをかける。残り資金は4,000、今の居住地に住み続ける
のは厳しい。また部屋を探さなくては…

濃霧の影響を受けないように作られた特殊地下バイパスを駆け抜ける