ENo.0176　クロムノート・ウェルサキオン

僚機となったシニカとは、最初に協力すると契約を交わして以降、交流はまったくなかった。
いや、ミッションが選択式になるまでは会話すらなかったというのが正しい。

「次回ミッションはDを提案します」

「構わねえ」

「加速素材は必要ですか」

「ああ」

「了解しました。送ります」

都合3分にも満たないであろうミッション前の話し合いを終えて、通信機を切ろうとする。
互いに、文字通り最低限の言葉しかない。
しかし今日に限ってはまだ終わりではないらしく、通信機からは再び淡々とした声が聞こえてきた。

「パーツの作成予定はどうなっていますか」

「…………俺のか？」

聞き返す。なんでそんな事聞くんだこいつは。
言うまでもなくパーツについて話し合いなどしたこともないし、こいつが興味を持つとも思えなかった。

「はい。あなたに作製を依頼したいパーツがあります」

「……俺がか？」

「はい。おそらくあなたならば十分な作製が可能、かつ躊躇なく臨むだろうと推察しています」

なるほどと納得しつつ、ちらと床の設計図を見る。
鹵獲した上質の軽二脚パーツがあったので、それを改良しようと考えていたので予定はあるといえる。

「……で、俺に何を作れって？」

ゴミを部屋の隅に蹴飛ばしながら聞く。

「タンクの脚部、軽量型のものを。材料となるパーツや資金はこちらで用意します。ウォーハイドラパーツへの法規制、およびパイロットへの重力加速度負担は一切考えず、旋回能力を現状の限界まで追究したものを作製してください」

「拷問用か？」

「おそらくはその用途にも使用可能ですが、わたしの用途はそうではありません。わたしの、次の機体脚部とする予定です」

冷静に考えれば訓練用か拷問用だが、返答は予想通りだった。
つまりは生きるため。方針を大幅に変更する気なのだろうか。どうでもいいが。

「そうか。……パーツや資金はそっちで用意するんだったな？　準備ができたらすぐ持ってこい」

「かしこまりました。格納庫の整理終了後すぐに。多少ですが、依頼料を同封しておきます」

「いらねえ。互いの利益のために協力するってのが契約だろう。これもそのうちだ」

なんとなく、そんなことを口にすると数秒の沈黙があった。
その分の埋め合わせは、こちらも必要になった時にパーツを作成してもらえば良いだろう。

「……では、そのように」

「おう。できたら連絡する」

「お待ちしております」

通信を切ってから、そういえばこの女が確実に使用するとわかっているなら意図的な不具合や欠陥を仕込むこともできるな、とふと考えた。
…もっとも、実際やるかと言われたらまったくメリットがないのでするはずもないのだが。

「……生きたい、ね」

いつかシニカから聞いた言葉をふと思い出す。
ならばこれは、俺が生存に手を貸す形になるのだろうかと思いながら、俺は改めて設計図を書くために立ち上がった。

戦争！　戦争！　戦争だ！
喜べよ下種畜生ども。地獄のラッパが響いてきたぞ。
俺達が呼ばれている。
多くの血を流すため、多くの命を踏み潰すため、多くの死を広げるために。地獄の戦鬼が。

よう戦友！　アンタが求めるのは血か？　金か？　闘争か？　栄誉か？　はたまた正義なんて求めてるのか？
まあ、いいさ。どれだって。御大層な理由だろうがクソみたいな理由だろうが、やる事も同じなら逝く場所も同じなんだからよ。

どうあれ、ここにいるって事は俺と同じく戦争をより盛り上げたいってイカレ共だ。
死体と涙と恨みと鉄屑を空高く積み上げたいって、死んだら地獄行き間違いなしの畜生共だ。

同じ死体を漁る野良犬同士、せいぜい仲良く分け合っていこうぜ、なあ？

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格闘反応な命が葉っぱ勢のあなたに。
ユニオン活動は格闘×3　反応×2 → 格闘×2　反応×3の順で更新毎に変更していきます。

10人の状態で死亡者が出た場合、また2更新以上行動しない場合は参加許可を外す可能性があります。ご了承ください。

ユニオン購入は何かしら意見あるまでは機動力＋3%を予定しています。