ENo.0406　ファイブカード

　
目を覚ました。

いつの間にか操縦棺の中で眠っていたみたい。寒い季節じゃなくて良かった。
ちょっと寝過ぎたかも。今何時だろう。



ふと目をやるとメールが届いていた。
仕事の連絡。廃工場を拠点とした勢力の排除。明日。

……あれ？
私が受けた仕事だったっけ？
私が受けた仕事だったかな。
私が受けた仕事だったかも。

全然記憶になかったけど、宛先はちゃんと私の機体、『ファイブカード』だった。
じゃあきっと、どうせ受けたのを忘れてただけなんだろうな。危なかった。



後で機体のパーツも確かめておいたほうがよさそう。もうこの前買ったものも忘れてる。
あと買っておかないといけないのなんだっけ。切らしてたのシャンプーだっけ。さっぱり思い出せない。
なんかこういうことばっかりだなあ。嫌になる。
せめて仕事はちゃんとやらないと。これしか出来ないんだから。

今はどうしよう。とりあえずもう一度寝直そう……。
…………。



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霧の中から再び『ファイブカード』が現れる。

以前とまた違った者を、また別のかつての乗り手を乗せて。

それでも機体は何を語ることもない。

かつての乗り手たちの遺したもの。

今は大型のレーザースコープとしてここに在る。
常より射撃の訓練、あるいは実戦に用いる者がいる。