ENo.0079　レナンティス

・ＣＭ・

「はぁ（カフェテラスで溜め息）」
「ＨＡＹ！　どうしたんだいボブ！　溜め息なんてついてＳＡ！（陽気に登場）」
「あぁ、ジョーイ。笑っちゃう話さ（自嘲気味に）」
「ＷＨＡＴ？　おいおい、いくら気怠いアフタヌーンのティータイムだからってローテンション過ぎるぜボブ！」
「ローテンションにもなるさ。見てくれよジョーイ（当然のように向かいの椅子に座り、怒っている様子の女性を指差し）」
「ん？　ＨＡＨＡＨＡＨＡＨＡ。ボォブボブボブボブボブ（おもむろに首へ手を回し）」
「なんだいジョーイ？」
「（満身の力を込めてチョークスリーパー）昼間ッから女を垂らしてるなんざ教育にイッツ御法度だぜ!?」
「ＷＨＹ!?　ＮＯＮＯＮＯＮＯ！　違う！　違うよジョーイ！（ジョーイの腕を叩きながら）」
「違う？　どういうこったボブ？　答えによってはてめえのライフは今日のうちにジ・エンドだぜ！（ボブを離して指差し）」
「ああ……実はたったいまフラれちまったのさ」
「アウチ！　イテぇ！　そいつぁイタすぎるぜボブ！（自分の頭叩きつつ）」
「ＨＡＨＡ。笑っちまうだろ？」
「だがしかし、安心しな、ボブ。いまこそコイツがあればそんな問題もすぐ解決さ！　いわゆるモゥマンタイ！（瓶詰めされた錠剤を取り出して）」
「ＷＨＡＴ？　なんだいそれは、ジョーイ」
「こいつかい？　こいつは即効性惚れ薬ことその名も『ラブハンター』さ！」
「ＹＡＨＯＯ!!　そいつはグレイトだぜジョーイ！（復活）」
「気に入ってくれたかい？」
「ああ、なんだかその安直なネーミングがフェイク臭いことこの上ないけど『溺れるものはキリストをも巻き添えにする』さ！」
「ＨＡＨＡＨＡＨＡＨＡＨＡＨＡ。今日も冴えてるぜボブ。俺からのプレゼントだ。一本いっときな！（錠剤一つを手渡して）」
「ＯＨ！　これで二人の中は元通りだぜ！（彼女の紅茶に錠剤混ぜつつ）」
「ＨＡＨＨＡ－!!　このＫＥＤＡＭＯＮＯメ！（サムズアップ）」

　女性、紅茶飲む。
　数秒。
　「うっ！」と言って絶命。

「デスっちゃったよジョーイッッッ!!!!」
「ＨＡＨＡＨＡ。それは当然さ。なにせ、そいつの原料はシアン化カリウム。いわゆる『青酸カリ』だからＮＥ！」
「どういうわけさジョーイ!?」
「ノンノンノンノン（チッチッチと指左右に振って）。実はそれがこいつのミソさ」
「ＷＨＹ？」
「この青酸カリの効果によって心理学で言うところの『吊り橋効果』ってやつを利用するのさボブ」
「ＯＨ！　あのデッド・オア・アライブのピンチにある男女が死と隣り合わせのフィアーによる動悸を恋愛のドキドキと勘違いしてラブっちまうってアレだね！」
「そう！　だがこいつは一歩間違えばただの毒薬。というか毒薬以外の何物でもないからね！　使うときは量に注意が必要さ！」
（注意書き：使うときはお医者さんに相談してから使ってね☆）
「というわけでこのグレイトなアイテム！　いまなら破格の五十銭で提供だ！」
「ワーオ！　一円で二つも買える憎らしいほどのお徳っプリだぜ！」
「というわけで合言葉は『買ってくださいゴマアザラシ』まで！　チェケラッチョ！」
「待ってるぜ！　イカしたケダモノ・ボーイなオールド・ガイども！」
「ところでボォブ。この女性とはどこまで進んでたんだい？（血を吐いて絶命した身体に斑点の浮かぶキモい死体を指差して）」
「フフフン！　そいつは彼女を三ヶ月もストーキングしてイタヅラ電話をかけるほどの仲さ！　お決まりは『今日は月に一度の憂鬱な日だね？　フフフ』だよ！」
「おもいっきしストーカーじゃねぇか！
このサノバビッチ野郎!!（必殺の右ストレートを炸裂）」

・ＣＭ終・


「だからなんなんださっきのＣＭはぁぁぁあああ！！？」
「ふむ、そのように細かいというか微細この上ないことをここぞとばかりに気にしているようではまだまだ私には追いつけんぞ猫よ」
「喧しいわ！！」
「ふ……そのような小動物の姿で言われても恐ろしくないな。今の貴様に比べれば人を借金に至らせる力がある辺り『どうする？　●イフル！』の小型犬の方がはるかに強烈であったことよ」
「ネタが古い！　中身の年齢がばれるだろ！！！」


☆次回から普通に戻りますんじゃ。

がらくたと、猫と、幽霊と。
特に何もしません。まったり。