ENo.0071　パアム・ライザ

よく晴れた、さんさんと陽が街に差し込む昼下がりだった。
平日のごくごく普通の日常があった街は、突如として混乱と暴動の嵐に見舞われた。

丁度、娘と二人で昼飯を食べに行った帰りだった。
丁度、今度の休日に海でも行こうかと話しながら研究所に着いた直後、遠くで、そして間を置いて、近場で、正確には研究所の門で、爆発音が鳴り響いた。

見やれば、武装した国軍の姿があった。
しかし、その様子からは何かを守るという意思は感じられず、ただただ侵略の狂気が目に映っている。

私たちは研究所の中に入ると、急いで警備員にシャッターを下ろすよう指示をした。

シャッターは間に合い、軍の突入を阻止した。
しかし、衝撃音やバチバチと火花の散る音は止まず、こじ開けようとしているのが分かる。

彼らの目的は分からない。しかし、目標は分かった気がする。

私達の開発している、生体兵器だろう。

これを、生命を冒涜する行為だと、一部で言われている事も、危険な研究だと言われていることも知っている。

それを、今の政権の援助で作っていたのだ。クーデターの目的が現政権の打倒だとすれば、
この研究の破壊および破棄は十分検討範囲に入るだろう。


閉じこもってから、二時間が経過した。
何重にも降ろされたシャッターは軍の侵入を防いでいた。

しかし、助けを呼ぶも、それは叶わない。

皆、不安に押しつぶされそうになっていた。


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「……私、なんでこんなことしてるんでしたっけ」

暖色光に彩られた、華やかな店内には、様々な衣服が飾られている。

試着室の前で、私は誰に見せるでもなく、ポーズを取っている。

……水着姿で。

錆色の水着と、下半身を覆う淡い空色の布は、手前味噌ながら、よく似合っていると思う。

普段、あまり露出度としては変わらない衣装を着ているが、どうにも恥ずかしいのは、やはり見せる事前提の服を着ているという気構えがあるからだろうか。


「海があるのか、分かりませんけど……まあ持っていても、良いですよね？」


つい、霧に包まれた町中で、煌々と霧を染める温かい光に、虫のように誘われたのがいけなかった。

懐が最近暖かくなっていたのもあり、ついつい散財してしまいそうだ。


「持っていても……うん、損はしませんし、それにコロッセオで映る時に……うん、見栄えが良いほうが良いですよね」


つらつらと、こういう時だけ出てくる淀みない言い訳を盾にしながら、ふらふらと会計を済ませるのであった。

「研究って何を研究するんだ……？」

「……貴方を利用した兵装とか」

「勘弁してくれ」