ENo.0580　リイア・イオス＝エイジ

「ねぇ、有明」

二人でハイドラの整備をしている時、リイアがなんでもない口ぶりで声をかける

「軽逆作ってくれない？」
『ん、どうして？』

僚機、有明が疑問を返すのも当然、リイアのハイドラは高機動機
作製する脚部の性能も、自分で作った方が合致するパーツになるだろうから

「いや、その……機動力足りなくて、旋回速度で勝負しようかと……」

積載の関係で軽逆にする予定が、機動力不足により旋回軸への変更を余儀なくされた、と
ブースターすら積載されない試運用案を有明へ提示する

『なるほどね。じゃあ僕が作る代わりに、おねーちゃんは何出してくれるの？身体？』
「えっ」

ピタッ、とリイアの動きが止まる

『……なんか予想外の反応だな。まあいいや、代わりにレーダー作ってよ』
「え、あ、えー、うん、レーダーならこれくらいの索敵範囲に……」

有明が自作で間に合わせようとしていたレーダーを、リイアが代わりに作る事で話が纏まっていく
軽量のレーダー二つで超広域探知に達する。制御型ライダーの作るレーダーとはそういうものだ

『ところで』
「ところで？」
『おねーちゃん、初心なの？』
「…………」

SYSTEM:エネルギーチャージ20%完了

『きゃー、おねーちゃんこわーい』
「蜂の巣にしてやるから止まってなさい」

けらけらと笑いながら逃げる僚機に、車輪を高速回転させ突撃する
普段気にしていない領域殲滅兵器のチャージの長さに苛立ちながら、軽車輪二機の追走劇が始まった