ENo.0349　ラキア・パラミダス

王のいない王国、ランストラ。

十二の貴族は、王の遺言に従った序列争いを数百年の長きに渡り続けていた。
序列上位の貴族には、国の最高意思決定機関である円卓会議においてより強い発言権が与えられる。
それは当然、利益や特権を生むことになり、『王にふさわしい騎士を選ぶための』序列争いは、
いまではほとんど形骸化し、権力闘争そのものになっていた。

現在、この序列争いには、序列一位の『ランスロウ』派と序列二位の『ディナダン』派の二つの大きな派閥がある。
詳しい派閥の内訳は省くが、『パラミダス』はそのどちらにも組せず、中立の立場を取っている。
序列順位変動の大きな要因である、騎士トーナメントで上位に食い込めるような実力のある騎士も久しく輩出しておらず、
その存在感は十二貴族の中でもかなり薄いと言わざるを得ない。

そんなパラミダスの地位を高め、序列上位に食い込むためには、誰もが無視のできないほどの巨大な戦果が必要なのだ。
だというのに、思うように活躍できず、ラキアは焦りを覚えていた。
残像領域の、傭兵や賞金稼ぎなど何するものか、と過小評価していたことを認めなければならない。
ギルデンロウというトップランカーなどは、あるいはランストラ最強の騎士、アルケイン＝ランスロウよりも上かもしれないとまで感じられた。


新しい技術、新しい戦術……彼らの変化に対する対応力はすさまじいものがある。

「自分は……騎士はもう古い存在なのかもしれない…」

鉄の騎兵を駆る騎士のためのユニオン。
とある王国が買い占めた土地に建つ巨大な要塞『エクゼター』を本拠地に活動をしている。

ユニオンメンバーになるには、騎士としての十分な名声、もしくは一等以上の位をもった騎士による推薦が必要。
シンボルマークは、青地に銀のガントレット