ENo.0383　クレイン・ヤギシマ

霧濃度53%。電磁波32%。予報通り。
視界比較的クリア。ラジオ音質良好。
昨夜『亡霊のジレンマ』読了。

朝食はタコライス、カツオのカルパッチョ、牛肉とピーマンの炒め、ナスの煮浸し、野菜コロッケ三つ、海藻のサラダ、温泉卵二つ、ミソ汁、サゴシの照り焼き、ブリ大根、うどん二杯、マーボーナス、コールスロー、ビスケット七枚、クリームチーズ豆腐。

6時のニュース。
このところ頭の一秒前後に音飛びが続く。
コロッセオ・レギュレータ社独立の動き。
コロッセオはもうハイドラライダーの稼ぎ場だ。
あのファイトマネーはそこらの傭兵稼業より多い。

休暇日和をコロッセオで過ごす連中は多い。
整備前のウォーハイドラでファイトマネーをつまんでいく。

辺境のレジスタンスからメッセージ届く。
彼はなぜこうもこちらを信じられる？

メルサリアからメッセージ届く。
千年の歴史？
どうも荒唐無稽な話だ。
どこまでが妄想か。
どこまでが残像か。

だれもかれも消え残っている。
死に損ねている。

コロッセオ・レギュレータ社からから取材の申し込み。
テレビは見ない。
インタビューだけ答える。
使われることもあれば使われないこともある。

『デスケル重工、思いは重厚』？
言えたら言う。

ドロレスからメッセージ続く。
しばらく付き合うのも悪くはない。

マニュピレーターふたつ届く。
品名はなぜかマニピュレーターになっている。
破棄する。

手紙なし。
メールなし。

タバコ残り十七箱。

十時に集合すること。

今日から次元潜航システムが実戦投入される。
この残像領域にはろくでもない技術ばかりが生まれていく。
一方で戦争はそういうものだ。
技術はやがて利用されるようになる。
次元潜航したパンやタバコが届くようになる日も遠くはないだろう。
何人が消えていく技術になるかだ。

ミッション：墜落浮遊輸送艦の調査 [目標物破壊] 。
17人参加予定。
『コロッソス』あり。
休暇のライダー多し。

生き延びること。
通信を通すこと。
クリアであること。

「ヤギシマだ。
　ここは索敵と通信を仕事にするライダーのユニオンだ。
　名前は『セントエルモ』。
　航海の守護聖人。
　ユニオン活動は『制御』を常に訓練する。
　ユニオン購入は当初AP+10%と言ってたが、
　機動を上げて何度も通信を通したほうがいいって思い直したんで、
　今は『機動力+3%』にしてこうと思ってる。
　まあ、ひとりでやっているうちは、
　たまに俺の好き好きで別のにしてることもあるだろうが。

　有利不利を求めるユニオンというよりも、
　俺たちは『索敵をする』ハイドラライダーなんだ、
　という意思表示みたいなものを目指したい。

　同じ戦場に配備された時、
　セントエルモの連中がいるな、あいつらが索敵してくれる、
　と、まあそう思ってもらえたらうれしい。

　参加者の戦闘システムは『アシスト』『ステルス』を推奨する。
　『コネクト』『ティタンフォート』でもいい。
　索敵範囲の目安は、とりあえず1500。
　霧濃度が180%を超えたら、もう少し引き上げたい。

　一応俺が音頭を取ってるが、
　もし俺が戦場で死んだらユニオンがどうなるのかは、別に決めてない。
　残った連中で適当に決めてくれ。

　そういうくらいのつながりだな。

　気になるやつがいたら『メッセージ』で声をかけて、
　俺の返事を待ってくれ。

　聞いてくれてありがとな。

　以上だ」